立田大橋

愛知県愛西市を流れる雄大な木曽川に架かる立田大橋（たつたおおはし）は、愛知県道・岐阜県道・三重県道125号の一部を構成する重要な桁橋です。全長は966メートル、幅員は12メートル（片側一車線）で、1984年（昭和59年）10月に供用が開始されました。愛西市立田町の松田地区と福原地区を結んでいます。

役割と重要性

この橋は、同じく木曽三川地域を流れる長良川に架かる長良川大橋や、揖斐川に架かる油島大橋と共に、愛知県、岐阜県、そして三重県を結ぶ広域的な交通網において重要な役割を担っています。特に、国内外から多くの人が訪れる「木曽三川公園センター」を中心とした木曽三川公園への主要なアクセス道路として利用されており、休日や行楽シーズンには周辺道路を含めて賑わい、混雑が見られます。

地理的特徴

立田大橋が位置する木曽川のこの区間には、地理的な特徴があります。通常、愛知県と岐阜県の県境は木曽三川のいずれかになりますが、この地域では長良川が県境となっているため、立田大橋が架かる木曽川の両岸は共に愛知県に属しています。これは、木曽川に架かる橋の中で、両岸が単一の県（愛知県）に位置する唯一の例であり、この地域のユニークな地理を示しています。

周辺環境と自然

橋の周辺を流れる木曽川は、河口に近いため潮の影響を受ける汽水域となっています。この環境は、干潮時に橋の下や周辺に砂浜の小さな島が出現させるなど、独特の自然景観を生み出しています。また、この汽水域では、地元の漁師によるヤマトシジミ漁が行われることもあります。多様な生態系を育むこの水域には、テナガエビやハゼ、セイゴなどを狙う釣り人も訪れますが、安全確保のため橋の上からの釣りは禁止されています。

利用上の注意

立田大橋は、車両が通行する車道の両側に歩道が整備されており、歩行者や自転車も安全に渡ることができます。特に、左岸側（愛西市側）の歩道からは、堤防上に整備された道路へ直接降りることが可能な構造になっています。なお、橋の西詰から北上し、東海大橋へ至る木曽川と長良川の間の堤防上の道路では、2010年（平成22年）10月1日以降、車両通行に関する一部規制が実施されていますので、通行の際は標識等に注意が必要です。

周辺施設

橋の両側の広大な河川敷は、木曽三川公園の一部である「東海広場」として国によって整備・管理されています。

右岸側（西側）の広場: 1990年（平成2年）4月21日開園。広大な芝生広場、各種スポーツが楽しめる多目的広場、一万人規模のイベントに対応可能な大規模広場、マラソンやジョギングに適したコース、予約制のバーベキュー広場、520台を収容できる無料駐車場が整備されています。
左岸側（東側）の「東エリア」: 2009年（平成21年）4月29日開園。オートキャンプも可能なデイキャンプ場（カーサイト30区画）、ゆったりとした多目的広場、気軽に楽しめるパークゴルフ場などが整備されています。

これらの施設は、年間を通して多くの家族連れやグループが、自然の中で様々なレクリエーションやアウトドア活動を楽しむ場として利用されています。

立田大橋とその周辺は、交通の要衝であると同時に、木曽川下流域特有の自然環境と、広大な河川敷を活用したレクリエーション施設が融合した、地域の特色を色濃く反映したエリアと言えます。橋自体は簡素な桁橋ですが、その背景には多様な側面が広がっています。

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