立石 (考古学)

立石（りっせき）

立石とは、考古学において、地面に垂直に立てられた長大な自然石を指す配石遺構の一種です。ヨーロッパに見られる巨石記念物であるメンヒルの訳語としても用いられますが、長大な石を立てた遺構全般を指すこともあります。

概要

立石は、ある種の記念物、墓標、あるいは何らかの目印として立てられたと考えられています。墓である場合は「立石墓」とも呼ばれます。

ヨーロッパのメンヒルのように高さ20メートルに達する規模のものは日本では確認されていませんが、縄文時代後期の集落遺跡の墓域に造られた環状列石内の立石などが知られています。秋田県鹿角市にある大湯環状列石の「日時計様組石」は特に有名です。

日本における立石の例

縄文時代早期: 長野県のこぶし畑遺跡（松本市）
縄文時代前期: 秋田県の根羽子沢遺跡（横手市）、長野県の阿久遺跡（原村）、上原遺跡（大町市）

これらの遺跡で見られる立石遺構は、古い段階のものとされています。縄文時代中期から晩期にかけて立石の数は増加し、分布域も広がります。

縄文時代以外では、鹿児島県薩摩半島南部で弥生時代中期から終末期にかけて出現した立石土壙墓（立石墓の一種）があります。また、岡山県倉敷市の楯築墳丘墓でも、墳丘上に立てられた立石群が確認されています。

立石は、その時代や地域によって様々な形態や意味合いを持っていたと考えられています。今後の研究によって、立石が持つ役割や背景がさらに明らかになることが期待されます。

参考文献

斎藤, 忠「立石墓」『改訂新版日本考古学用語辞典』学生社、2004年9月20日、452頁。ISBN 4311750331。NCID BA68729429。
江坂, 輝弥、芹沢, 長介、坂詰, 秀一「立石」『新日本考古学小辞典』ニュー・サイエンス社、2005年5月20日、424頁。ISBN 9784821606146。NCID BA72195827。

関連項目

メンヒル
配石
列石
ストーンサークル（環状列石）
大湯環状列石
巨石記念物
* 立石土壙墓

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