竜門山地

竜門山地について

竜門山地は、奈良県の中央部に位置し、奈良盆地、吉野川（紀の川）、そして宇陀川（宇陀盆地）に囲まれた場所に広がっています。この山地は、金剛山地の東斜面から始まり、御所市と五條市の境界に広がる丘陵地帯から、東に向かって徐々に標高を上げていき、最高峰である竜門岳へと至ります。そこからさらに宇陀[[山地]]（または高見山地）へと連なっていきます。

地理的な特徴

竜門山地の地理的な特徴として、いくつかの尾根が挙げられます。龍在峠からは北へ延びる尾根があり、御破裂山へと続いています。また、龍在峠と竜門岳の間からは分岐して北へ伸びる尾根があり、音羽三山（熊ヶ岳、経ヶ塚山、音羽山）へと続いています。これらの山々の北端は、初瀬川によって笠置山地（大和高原）と隔てられています。金剛山地から竜門岳までの南斜面と吉野川（紀の川）の間には、中央構造線が走っていることも特筆すべき点です。

主な山々

竜門山地には、以下のような山々が連なっています。

高取山（583.61 m）：高取城跡の天守閣跡には三等三角点が設置されています。
御破裂山（607.38 m）：談山神社の北側に位置する山です。
竜門岳（904.09 m）：竜門山地の最高峰です。
熊ヶ岳（904 m）：音羽三山の一つです。
経ヶ塚山（889 m）：音羽三山の一つです。
音羽山（851.34 m）：音羽三山の一つです。

万葉集との関わり

竜門山地は、古代から人々に親しまれてきた場所であり、その証拠に万葉集にもその名が登場します。「倉椅（倉梯）の山」として歌われている山は、現在の桜井市倉橋付近の山、または倉橋付近から見える音羽山や多武峰（御破裂山）など、竜門山地の山々とする説があります。

万葉集には、竜門山地を詠んだ歌がいくつかあります。

「倉椅の山を高みか夜隠に出で来る月の光乏ともしき」（巻3-290）
「梯立の倉梯山に立てる白雲見まく欲り吾がするなへに立てる白雲」（巻7-1282）

また、万葉集に登場する「倉梯川」は、竜門山地を源流とする寺川（大和川水系）の古称であるとされています。倉梯川を詠んだ歌も収録されており、当時の人々の生活と密接な関わりがあったことが伺えます。

「梯立の倉梯川の石の橋はも男盛に吾が渡せりし石の橋はも」（巻7-1283）
「梯立の倉梯川の川の静菅吾が刈りて笠にも編まず川の静菅」（巻7-1284）

桜井市倉橋には、崇峻天皇陵があり、また天武天皇7年（678年）には倉梯川の川上に斎宮が建てられたと日本書紀に記されています。

竜門山地を越える主な道

竜門山地は、古くから人々が往来する場所であり、現在でもいくつかの道が利用されています。主な道としては、以下のものがあります。

芦原峠：国道169号が通り、芦原トンネルが利用されています。
壺坂峠：奈良県道269号線が通っています。
芋ヶ峠：奈良県道15号線が通っています。
龍在峠：古くからの峠道です。
細峠：奈良県道37号線が通り、新鹿路トンネルが利用されています。
大峠：ふるさと農道が通り、大峠トンネルが利用されています。

これらの道は、地域間の交流や生活を支える重要な役割を担っています。

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