童夢・F111/3

童夢 F111/3の概要

童夢が手掛けたF111/3は、国際自動車連盟（FIA）が提唱するフォーミュラ・リージョナル規格に基づいて開発されたフォーミュラカーです。この車両は、日本のフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップにおける競技車両として特に注目されています。

シャシーの特徴

F111/3は、FIAのフォーミュラ・リージョナルに適合したシャシーを備えており、プライスキャップに従った価格で販売されています。具体的には、シャシーが77,000ユーロ、エンジンが23,000ユーロと設定されており、コスト効率を重視した設計が施されています。安全性に配慮し、Haloシステムの装備も対応しています。

エンジンと性能

搭載されているエンジンは、フォーミュラリージョナル ヨーロピアン選手権やF3アジア選手権で使用されるアウトテクニカ・モトーリによってチューニングされたアルファロメオ製の1,750cc水冷直列4気筒ターボエンジンです。このエンジンは最大270hpを発揮し、併せてマレリ製のECUやデータロガーが利用されています。当初は日本メーカーのエンジンに切り替えたいという考えもありましたが、日本人ドライバーにとってはニュートラルな性能を持つこのエンジンが導入されました。

環境への配慮

F111/3の一部は、Bcomp社と共同開発した天然繊維を使用したダンパーカバーが特徴です。この素材は内部にGPSアンテナを内蔵しており、電波遮蔽性に優れたCFRPの使用が難しいための工夫です。日本のFIA/JAF公認車両としては、初めて天然繊維を採用した事例となります。

テストと評価

2019年9月には岡山国際サーキットでのシェイクダウンが行われ、複数の現役ドライバーによるテストが実施されました。同年の9月27日には、シリーズの概要について記者会見が開かれ、多くのメディアに報道されました。

安全性の向上

2021年にはFIAの安全規則の改定に伴い、リアストラクチャーとギアボックスを結ぶ2kJテザーが追加され、車両の安全性がさらに向上しました。また、全体の最低重量規則が680kgに改正されています。

未来の計画

童夢は、2024年にFIA F4のシャシーが新型に切り替わるタイミングで、F111/3と同一モノコックを使用する「F111/4」の開発を計画していました。しかし、FIA F4が東レ・カーボンマジック製のマシンを採用するため、この計画は実現しない見込みです。

諸元

F111/3の主要な諸元は以下の通りです：

• - 全長：4,891mm
• - 全幅：1,850mm
• - 全高：957mm
• - ホイールベース：2,950mm
• - 車重：670kg（ドライバー込）
• - エンジン：水冷直列4気筒インタークーラーターボ・排気量1,750cc
• - 最大出力：270hp/6,000rpm
• - サスペンション：ダブルウィッシュボーン（インボードタイプ）
• - ブレーキ：ADVICS製4POT対向キャリパー

F111/3は、フォーミュラ・リージョナルシリーズでの競技向けに設計されており、安全でありながら高いパフォーマンスを持つ魅力的な車両です。

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