竪穴建物 (中世)

竪穴建物の概要

竪穴建物、あるいは方形竪穴建築とは、日本の中世期、特に鎌倉時代から室町時代にかけて見られた半地下構造の建物を指します。主に倉庫や作業小屋として利用されていたと考えられています。この建物は日本全国に広がっており、特に神奈川県鎌倉市での発掘例が特に有名です。7世紀から10世紀にかけて存在した原始・古代の住居、いわゆる竪穴住居とは、機能や使用される目的にて明確に区別されています。

発見の経緯

1982年に神奈川県鎌倉市の遺跡群で行なわれた発掘調査において、確実に中世期に属する竪穴状の建築遺構が発見され、その過程で「方形竪穴建築址」という名称で報告されることとなりました。その後、青森県や栃木県、福岡県、鹿児島県など、東日本を中心に次々と中世竪穴建物の事例が検出され、西日本でも同様に発見され、全国的にこの建築の存在が認識されるようになりました。特に平安時代末から16世紀後半にかけて、この種の建物の存在が確認されています。

呼称の変遷

現在、「竪穴建物」という名称が一般的に使用されている一方で、当初は「竪穴状遺構」や「方形竪穴状遺構」といった様々な名称が使われていました。特に1970年代後半以降、文化庁による調査報告でも、原始・古代の竪穴建物とこの中世の竪穴建物が同一の項目として説明されることが多くなり、その結果、名前が統一されるようになったとも言えます。今もなお両者の関係については、研究の余地があります。

構造と設計

この建物は、通常、地面に二メートルから六メートルの方形の穴を掘り、その土の壁面に木の横板を配置して壁を構成する半地下の構造であると推測されています。多くの場合は、一定の軸線がある柱を立てる「柱建ち」構造が用いられており、これを「竪穴式掘立柱建物」と呼ばれることもあります。また、西日本の遺跡には、杭で壁板を支える形式や、壁面寄りに不規則に柱が並ぶ事例も見受けられますが、これらは独立した竪穴建物ではなく、平地建物の一部とされることもあります。

鎌倉遺跡群の特徴

鎌倉において発見された竪穴建物は、特に独特な構造を持っており、土台角材が使用されることが特徴です。この場合の「竪穴式土台建物」として知られており、横板によって囲まれた構造で上屋の荷重を支える工夫がなされています。この種の建物は鎌倉特有の特徴と考えられており、鈴木弘太氏によると、鎌倉時代の中ごろにこの地域で繰り返し建設されたとのことです。こうした特徴は、当時の土地区画制度とも関連があるとされており、鎌倉の都市構造を理解する上で重要な要素となっています。

外観とその推測

中世の竪穴建物の外見は、上屋部分の構造に関する遺構が少ないため、はっきりとは分かっていません。しかし、当時の平地の掘立柱建物と同様の構造であった可能性が高いと推測されています。『粉河寺縁起絵巻』の描写から、当時の竪穴建物の一例を探ることができるかもしれないと言われています。この絵巻には「的印の家」という建物が描かれており、平面構造が特徴的です。しかし、この描写が確かに竪穴建物であるかどうかについては今なお議論が続いているため、明確な結論は導かれていない状態です。

結論

竪穴建物は、日本の中世において重要な建築形態であり、その発見は日本の歴史や文化を知る上で非常に価値があります。今後もさらなる研究が進むことで、より多くの事例やその意義についての理解が深まることが期待されています。

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