端紙

端紙（はがみ）とは

端紙は、相撲界において借金を表す隠語です。この言葉は、借金そのものやその証書を指し、大相撲に特有の文化とルールの一部となっています。特に、借金を証明するために使用されるのが美濃紙の半紙を八つ折りにした縦長の形状を持つ証書です。この風習は、角界において重要な役割を果たしています。

返済の慣習と現状

端紙の返済については、一般的に「出世払い」と呼ばれる慣習が存在します。これは、力士が成長し、収入が向上した際に借金を返済するというもので、相撲の世界ではよく見られる慣行です。しかし、実際には、関取に昇進するまでの道のりが長く、また、関取以外の力士は収入が限られているため、ほとんどの力士がこの出世払いを果たすことができないという現状があります。

歴史的エピソード

1938年から1986年の間、出羽海部屋で床山をしていた床清のエピソードは、端紙の文化を象徴しています。若手時代の1938年8月、彼は大連で行われた巡業中にアメーバ赤痢にかかり、途中で帰国した双葉山の髷を結うために自宅を訪れました。その際、双葉山から「油銭」として当時の10円を受け取ります。この金額は、出羽海部屋がある両国から双葉山の自宅がある築地までの東京市電の運賃が8銭だったことからも、非常に大きな金額でした。

床清は、その後10日間にわたり、毎日この報酬を受け取り、合計で100円を双葉山から受け取ることになりました。しかし、この話を知った兄弟子たちから「端紙」としてすべてのお金を巻き上げられ、結局、床清の手元には1銭も残りませんでした。このような逆境に遭遇する力士も多く、端紙は相撲界における借金の象徴として根付いています。

まとめ

端紙という言葉は、大相撲における借金やその証書を象徴する重要な概念です。出世払いという形式的な返済ルールが存在しているものの、実際には経済的な厳しさから返済が困難であることが多いです。床清のエピソードは、端紙の文化をより深く理解するための一例であり、相撲界の独特な事情を浮き彫りにしています。これらの事情は、相撲界の複雑な人間関係や経済的背景を反映しており、力士たちが直面する様々な試練を示しています。

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