アメーバ赤痢

アメーバ赤痢（アメーバせきり）

アメーバ赤痢とは、赤痢アメーバ（Entamoeba histolytica）によって引き起こされる消化器系の感染症です。この病気は日本では感染症法に基づいて五類感染症に指定されており、特に危険な病原体とされています。アメーバ赤痢は大腸に寄生し、感染した患者は糞便を通じてシストを排出します。これにより、感染が広がる可能性があります。

疫学

アメーバ赤痢は世界中に広がっていますが、特に熱帯や亜熱帯の地域で多く発生しています。日本においても、開発途上国へ旅行する人々の間で感染例が見られます。先進国では、特に肛門性交などの性的接触を通じて感染することが問題視されています。

感染源には、回復期の患者、サルやネズミ、シストに汚染された食材や飲料が含まれます。また、ハエやゴキブリなどによって、機械的に病原体が運ばれることもあります。これらのリスクを認識し、注意を払うことが重要です。

症状

アメーバ赤痢には、腸アメーバ症と腸外アメーバ症の二つの形態があります。感染が腸に及ぶと、大腸や直腸、さらには肝臓に潰瘍が形成されることがあります。症状としては、いちごゼリー状の粘液血便が数回から数十回現れることが多いです。また、下痢が断続的に続いたり、腸内にガスが溜まったり、痙攣性の腹痛を伴うこともあります。一般的には軽症である場合が多いですが、重症化すれば死亡することもあるため注意が必要です。

一方、動物における感染は一般的に無症状ですが、特に犬では稀に激しい下痢を引き起こすこともあります。

診断

アメーバ赤痢の診断は、便検査を行い、アメーバの病原体を確認することで行います。ルゴール染色やエオジン染色を用いて、体内の感染の有無をチェックします。また、腸外型の感染の場合は、血清検査によりアメーバ抗体を確認します。

治療法

治療には抗アメーバ薬が使用されます。放置すると慢性化しやすく、再発するリスクも高くなるため、早期の対処が求められます。

予防

アメーバ赤痢を予防するためには、飲食物をしっかり加熱することや手洗いを徹底することが効果的です。さらに、適切な糞便処理を行うことも重要です。最後に、シストを排泄している可能性のある人々との接触にも注意を払う必要があります。現時点では、ワクチンは開発されていないため、自己防衛が求められます。

結論

アメーバ赤痢は、慎重な対応が必要な感染症です。特に旅行や性交渉などでの感染リスクを考慮し、予防措置を講じることが重要です。正しい知識を持つことで、自分自身と他者を守ることができるでしょう。

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