竹下裁定

竹下裁定（たけしたさいてい）

竹下裁定は、1989年6月2日に実施された自由民主党の総裁選挙において、当時の総裁である竹下登が外務大臣の宇野宗佑を次期総裁に指名した重要な出来事です。この決定は、自民党内の動揺が続く中での有力候補の登場を意味し、政治情勢に影響を与えました。

概要

竹下登は1989年4月25日に、リクルート事件を巡る支持率の低下を受けて首相を辞任することを表明しました。辞任の翌日には、竹下の秘書である青木伊平が自殺する衝撃的な出来事もありました。青木の死については、イギリスの経済誌『フィナンシャル・タイムズ』が、日本文化における忠誠を象徴するものとして報じました。

その後、リクルート事件に関連して自民党内での役職辞退を余儀なくされた党幹部たちの中から、次期総裁候補選びが難航しました。外部の圧力や健康問題から、安倍晋太郎や宮澤喜一といった政治家も名乗りを上げていましたが、彼らは皆その職責を辞退しました。

特に、自由民主党総務会長の伊東正義が注目されましたが、政治改革に保守的な立場を取ることが彼との合意を難しくしました。伊東は竹下に対して、若い世代の政治家が必要とする意見を述べ、竹下の提案に応じる姿勢を見せませんでした。結果として、竹下はごく短期間で外務大臣の宇野宗佑のもとに焦点を絞ることになります。

総裁選挙の経過

5月10日、伊東は国会で「本の表紙を替えるだけでは駄目だ」と述べ、さらなる改革を求め続けました。しかし竹下は、伊東との交渉が難航する中、6月2日の党大会に向けて宇野を正式に後継指名する手続きを進めていました。そして、同日の両院議員総会では意外にも無投票で宇野宗佑が新たな総裁に選出されました。これにより、自民党内での空白を一時的に埋める形となりました。

結末

竹下裁定は、当時の政治情勢を反映し、自民党内の権力バランスの変化を示しました。宇野の登板によって新たなリーダーシップが期待される一方で、竹下政権の後ろ暗い部分が浮き彫りになることとなり、日本政治の先行きに影響を与えることになりました。

その後の宇野政権はさらなる課題に直面することになりますが、竹下裁定は、政治界の変化と、党内の派閥争いを反映した象徴的な出来事として記憶され続けています。

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