竹中佳(たけなか けい)は、
1986年1月9日生まれ、
兵庫県加古川市出身の元女子
プロボクサーです。高砂ボクシングジムに所属し、第4代OPBF東洋太平洋女子
ライトフライ級王者としてリングで輝きました。彼女のニックネームは、スペイン語で「忍耐」を意味する「Paciencia」。また、試合時にはスカートを着用するという個性的なスタイルでも注目を集めました。プロキャリアは12戦11勝(3KO)1敗という素晴らしい戦績を残しています。
経歴
加古川市立志方中学校に通っていた頃、ボクシングの世界に惹かれ始めました。加古川西高校時代はバレーボール部に所属していましたが、卒業後は
武庫川女子大学へ進学。大学を経て、フィットネスクラブ「
ティップネス」でインストラクターとして活躍しました。しかし、
プロボクサーになる夢を諦めきれず、2010年に
ティップネスを退職し、本格的にプロの道を目指すこととなります。プロ転向前にはアマチュアのリングも経験しており、6戦して5勝を挙げるなど、既にその実力を見せていました。高校の先輩には、元東洋太平洋フライ級王者の松村謙二氏がいます。
プロキャリア初期
2012年6月20日、
大阪府立体育会館で行われた
井岡一翔選手と八重樫東選手のWBA・WBC世界ミニマム級王座統一戦という、歴史的な一戦の前座でプロデビューを飾りました。緒方汐音選手とのデビュー戦は判定勝利で白星スタート。同年9月16日には、よみうり文化ホールでのダブル女子世界戦の前座で、後にWBA女子世界ライトミニマム級王者となる
古川夢乃歌選手と対戦し、これも判定で勝利を収めました。プロ3戦目となる12月31日には、
大阪府立体育会館でのダブル世界戦前座に登場。剣斬リホ選手を相手に、わずか1回でのTKO勝利を飾り、プロとして初のノックアウトを記録しました。
2013年に入ると、3月16日には
神戸市立中央体育館で初の国際試合に挑戦。タイのチュカターン・クラティーンハット選手に判定勝利を収めました。6月30日には
高砂市総合体育館で、初の6回戦となるタイのワッサナ・シットワンディー選手との試合に臨みました。相手の顔面を的確に捉え続ける展開で、ジャッジ3者全員が竹中選手を支持する3-0の判定勝利を掴みました。同年大晦日、再び
大阪府立体育会館での世界戦前座に出場。タイのインレック・シットサイトーン選手と対戦しました。初回から鋭い左ストレートでダメージを与え、2回には左右のコンビネーションからダウンを奪い、そのままテンカウントを聞かせる鮮やかなKO勝利を飾りました。
東洋太平洋王座獲得と防衛
無敗で快進撃を続ける竹中選手は、2014年4月4日、
神戸市立中央体育館でヨッカオ・ローエイシティジム選手(タイ)との一戦に臨みます。この試合は当初、東洋太平洋
ライトフライ級王座への前哨戦として組まれていましたが、前王者の返上により空位となっていたため、急遽王座決定戦へと格上げされました。竹中選手は3回にフックで2度のダウンを奪うと、4回には左カウンターで再び倒し、最後は左ストレートでフィニッシュ。この圧倒的なTKO勝利により、第4代OPBF東洋太平洋女子
ライトフライ級王座を獲得しました。
同年11月2日、明石市立産業交流センターにて、初の防衛戦を行いました。挑戦者は東洋太平洋ランキング3位のノンギッグ・シットジャーナート選手(タイ)。ダウンを奪うまでには至りませんでしたが、終始試合をコントロールし、ジャッジ2人がフルマークをつける内容で完勝。見事に初防衛に成功しました。この試合は当初、異なる相手が予定されていましたが変更されています。
2015年4月22日には
大阪府立体育会館での世界戦前座で、タイのカニタ・サックナロン選手とノンタイトル6回戦を行い、再び3者フルマークの判定勝利を収めました。同年8月には、世界的なランキングであるIBFの
ライトフライ級で1位にランクアップするなど、世界の舞台も視野に入ってきました。
9月27日、再び大阪府立体育館での世界戦前座にて、東洋太平洋王座2度目の防衛戦に臨みます。挑戦者は、一度対戦が流れた経験を持つランキング2位のクリカノック・アイランドムエタイ選手(タイ)。この試合も危なげなく試合を進め、ジャッジ3者全員がフルマークをつける内容で勝利し、2度目の防衛に成功しました。
2016年4月17日には、世界挑戦に向けた前哨戦として、タイのダーオルアン・サックナロン選手と対戦。3-0の判定勝利を収め、戦績を11戦無敗としました。しかし、同年7月12日付で保持していた東洋太平洋王座を返上しました。
世界王座挑戦と引退
OPBF王座返上を経て、竹中選手はついに世界の舞台に立ちます。2016年8月20日、
三田市駒ヶ谷運動公園体育館にて、WBO女子世界
ライトフライ級王座決定戦に挑みました。相手はWBO女子アジア太平洋同級王者のルイサ・ホートン選手(
オーストラリア)。WBO世界ミニマム級のダブル世界戦として注目された一戦でした。しかし、試合は3回以降ホートン選手のペースとなり、劣勢を強いられます。最終ラウンドで逆転を狙いましたが、逆にカウンターでダウンを喫してしまいました。結果は0-3の判定負け。プロキャリア初の黒星となり、残念ながら世界王座獲得はなりませんでした。
このホートン戦で、竹中選手は持病の腰痛を悪化させてしまいます。治療に専念しましたが、回復は叶いませんでした。2017年12月8日、プロ戦績11勝(3KO)1敗という成績を残し、惜しまれながらも現役を
引退することを発表しました。
ボクサーを
引退した後、竹中選手は新たな道へ進みます。2018年には愛知県観光PR隊「徳川家康と服部半蔵忍者隊」のオーディションに合格し、女性忍者「胡蝶(こちょう)」として約1年間活動しました。2019年3月末に忍者隊を退任した後は、具体的な活動は公表されていませんでしたが、2023年4月23日、刈谷あいおいホールにて行われた台湾で
プロボクサーを目指す同学年の大坪真実選手とのエキシビションマッチで、約7年ぶりにリングに上がる姿を見せました。
戦績
プロ戦績:12戦11勝(3KO)1敗
獲得タイトル
第4代OPBF東洋太平洋女子
ライトフライ級王座(防衛2=返上)