竹内安守

竹内安守：激動の時代を生きた陸軍将官

竹内安守（たけうち やすもり）は、1891年（明治24年）5月22日に石川県で生まれ、1976年（昭和51年）8月19日に没した大日本帝国陸軍の軍人です。最終階級は陸軍少将。

初期の軍歴

竹内は陸軍士官学校第25期、陸軍大学校第37期を卒業し、軍人としてのキャリアをスタートさせました。1937年（昭和12年）3月1日に第2独立守備隊参謀に就任。同年11月1日には陸軍歩兵大佐に進級しました。

中国戦線での活動

1939年（昭和14年）10月には琿春駐屯隊参謀に転じ、同年8月には歩兵第37連隊長（第11軍・第4師団・第4歩兵団）として武漢に進駐しました。この時期、中国大陸での軍事作戦に深く関わりました。

将官への昇進と関東軍での任務

1941年（昭和16年）3月1日、竹内は陸軍少将に進級し、第8歩兵団長（関東軍・第20軍・第8師団）に就任しました。鶏寧に駐屯し、関東軍特種演習で動員され、北辺の守備に任じました。この時期は、ソ連との国境を意識した防衛体制が重要視されていました。

独立混成第8旅団長としての終戦

1943年（昭和18年）9月、竹内は独立混成第8旅団長（北支那方面軍）に就任し、北京北東約120キロに位置する古北口に駐屯しました。終戦後の8月21日、ソ連軍機械化騎兵集団が同地に進出。ソ連軍の要求により、旅団隷下の独立歩兵第31大隊と山砲兵中隊は武装解除を余儀なくされました。主力部隊は20キロ南方の石匣に移動しましたが、武装解除された部隊を石匣に帰還させるための交渉に向かった旅団参謀の越知享中佐以下が抑留されるという事態が発生しました。

ソ連軍との対峙

8月22日、ソ連軍は石匣城外に進出し、旅団全員に即時武装解除を要求しましたが、旅団は全員玉砕を覚悟で総攻撃を決意。この緊迫した状況の中、8月28日に戦車第3師団隷下の戦車第17連隊長緒方休一郎大佐が率いる緒方支隊が同地に到着。戦車第3師団参謀の永山仙一中佐が、連合国協定に違反して長城線以南を侵犯したソ連軍に対し、蒋介石総統から委任された権限により捕捉殲滅すると通告。これにより、ソ連軍は長城線以北に撤退しました。この出来事は、終戦直後の混乱期におけるソ連軍の侵攻と、日本軍の抵抗を示す事例として特筆されます。

公職追放と晩年

1947年（昭和22年）11月28日、竹内は公職追放仮指定を受けました。その後、どのような晩年を送ったかは詳細には分かっていません。

竹内安守の生涯は、大日本帝国陸軍の将校として、激動の時代を生き抜いた一人の軍人の姿を伝えています。特に終戦直後のソ連軍との対峙は、当時の混乱した状況を如実に示しており、歴史を考察する上で重要な事例と言えるでしょう。

参考文献

中山隆志 著『ソ連軍進攻と日本軍』国書刊行会、1990年。ISBN 4336031673。
福川秀樹 編著『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。ISBN 4829502738。
* 外山操 編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。ISBN 4829500026。

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