竹内宏介

竹内宏介：昭和プロレスの魂を継いだ男

1947年、静岡県熱海市に生まれた竹内宏介は、幼少期に力道山ブームを経験し、プロレスへの強い情熱を育みます。東京都台東区で育ち、プロレスラーの活躍を熱心に追いかけた少年時代は、後の彼の人生を決定づける重要な時期でした。

1965年、ベースボール・マガジン社に入社し、『プロレス&ボクシング』誌のカメラマンとしてプロレス界に足を踏み入れます。若くして編集長に就任するなど、才能を開花させます。その後、日本スポーツ出版社へ移籍。1968年には、後にプロレス界のバイブルとなる『月刊ゴング』（のちの『週刊ゴング』）の創刊に携わり、同誌を牽引する存在となりました。

竹内宏介は、全日本プロレスのジャイアント馬場、新日本プロレスの新間寿といった、当時のプロレス界を代表するキーパーソンからの信頼も厚く、1981年の外国人レスラー引き抜き問題においては、その鋭い視点と人脈で、歴史に残るスクープを『別冊ゴング』で発表。翌年には両団体の休戦交渉の仲介役を務めるなど、プロレス界の紛争解決に重要な役割を果たしました。

編集者としての活動に加え、東京12チャンネルの国際プロレス中継番組やNETテレビ『ワールドプロレスリング』で解説者としても活躍。独特のハイテンションな語り口は視聴者の心を掴み、人気解説者としての地位を確立しました。

特に、ミル・マスカラスの日本進出においては、そのスター性に着目し、来日前から徹底的な取材を行い、『ゴング』誌でマスカラスを特集。来日後もマスカラス専属解説者として活躍し、彼の日本における成功に大きく貢献しました。

全日本プロレス中継では、山田隆、田鶴浜弘の後継者として、若林健治との「若竹コンビ」、福沢朗とのハイテンションコンビで人気を博し、1990年代のプロレス中継を盛り上げました。ジャイアント馬場の引退試合の解説で復帰するなど、長年にわたり全日本プロレスを支え続けました。

2000年の全日本プロレス分裂後も、馬場元子派に属し、リングに上がるなど全日本への強い愛着を示しました。晩年は執筆活動に力を注ぎ、『週刊ゴング』休刊後も『Gリング』の最高顧問を務めました。2006年に脳梗塞で倒れ、病床にあったものの、プロレスへの情熱を失うことはありませんでした。

国際プロレスの秘蔵映像のDVD-BOX化など、プロレス史の保存にも貢献。自ら撮影した試合映像なども多数所蔵しており、その膨大なコレクションはプロレス史研究において貴重な資料となっています。FMW（フロンティア・マーシャルアーツ・レスリング）の名付け親としても知られています。

2012年5月3日、腸閉塞のため65歳で死去。数多くの著書を残し、昭和プロレス黄金期の証人として、その名と功績は長く記憶されることでしょう。解説時の「どうもっ！」「ですねっ！」といった独特のフレーズも、多くのプロレスファンに愛されています。

彼の功績は、単なるジャーナリストや解説者の枠を超え、プロレス界の発展に大きく貢献した、真のプロレス愛に溢れた人物であったと評価できます。数々の逸話、そして彼の残した言葉や映像は、これからも多くのプロレスファンを魅了し続けるでしょう。

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