竹内広明

竹内広明氏は、1953年10月22日に群馬県多野郡新町で生まれた、日本の元プロ野球選手です。現役時代は右投右打の投手として活躍しました。

野球の才能は深谷商業高校で開花しました。1年生から控え投手や一塁手としてチームに加わり、1969年の夏の甲子園予選、西関東大会決勝まで進出しましたが、川越工業高校に惜敗し、夢舞台への扉は開きませんでした。このチームには、後に東映フライヤーズへ入団する2学年上の捕手、荒船洋資がいました。高校での大きな転機は、2年生秋の1970年に関東大会埼玉県予選で訪れます。岩槻高校戦、そして7回コールドとなった立教高校戦で、立て続けにノーヒットノーランを達成し、並外れた実力を見せつけました。この勢いを維持し、関東大会決勝では木更津中央高校を完封し、チームを優勝に導きました。

3年生となった1971年には、深谷商業高校野球部にとって史上初となる、春夏の甲子園連続出場をエースとして牽引しました。春の選抜大会では準々決勝まで勝ち進みましたが、この大会の優勝校である日大三高との対戦で、相手エース渡部良克投手（日本大学）に完封され敗退しました。夏の選手権大会では、1回戦で全国的な強豪である銚子商業高校と対戦。この時の相手投手は、後にプロでチームメイトとなる根本隆投手でした。白熱した投手戦の末、試合は延長戦にもつれ込みましたが、延長10回にサヨナラ負けを喫し、夏の甲子園は初戦で幕を閉じました。

高校卒業を控えた1971年のプロ野球ドラフト会議で、竹内氏は大洋ホエールズから1位という高い評価を受けて指名され、プロ入りを果たしました。当時の野球界では、「超高校級の本格派右腕」として大きな期待を集める存在でした。

プロの世界に入り、ルーキーイヤーの1972年から、高卒新人としては異例ながらも夏のチーム状況に応じて先発投手として起用される機会を得ました。同年7月17日には、青森県営野球場での広島東洋カープ戦でプロ入り初先発のマウンドを踏み、見事プロ初勝利とプロ初完投勝利を同時に記録。さらに翌月8月17日には、川崎球場での中日ドラゴンズ戦でプロ入り初完封勝利を達成するなど、その実力の片鱗を示しました。2年目の1973年には、自己最多となる9勝をマークし、将来のエース候補として期待されました。しかし、その後は怪我に悩まされる時期もあり、1976年からは主にリリーフとして、チームのピンチを救う役割を担うことが多くなりました。

現役時代の1970年代には、その活躍や注目度から、競走馬の名称になぞらえ「大洋のハイセイコー」という愛称で呼ばれることもありました。プロ野球選手としての登録名を、1979年からはそれまでの「竹内広明」から「竹内宏彰」に変更しています。背番号も、入団時の「36」から「16」「11」と変わり、引退する1983年には「44」を背負いました。1983年シーズン終了後、プロ野球選手としてのキャリアを終えました。

オーバースローから投げ込むストレートに加え、スライダー、シュート、カーブといった変化球を得意としていました。

プロ野球引退後は、会社員として活動しています。また、ラグビー日本代表として活躍した小野澤宏時氏は、竹内氏の娘婿にあたります。

プロ野球での顕著な初記録は以下の通りです。

初登板：1972年6月6日、対ヤクルトアトムズ5回戦（明治神宮野球場）、救援登板
初奪三振：同上、7回裏に松岡弘から
初先発・初勝利・初完投勝利：1972年7月17日、対広島東洋カープ15回戦（青森県営野球場）
初完封勝利：1972年8月17日、対中日ドラゴンズ20回戦（川崎球場）
* 初セーブ：1974年6月15日、対読売ジャイアンツ9回戦（後楽園球場）、救援登板

高校野球での輝かしい実績と、プロ入り後の期待、そして怪我と戦いながらチームに貢献した経歴は、多くの野球ファンに記憶されています。

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