竹尾彦九郎

竹尾 彦九郎の生涯と業績

竹尾 彦九郎（たけお ひこくろう）は、1839年8月10日（天保10年）に三河国八名郡賀茂村（現在の愛知県豊橋市）で生まれました。彼は竹尾新五左衛門茂幹の三男として誕生し、幼少期に両親を失ったため、叔父である竹尾茂樹に育てられました。万延元年（1860年）には生家に戻り、その後の人生で様々な公職に就くことになります。

明治維新を経て、彦九郎は戸長や八女郡の書記として地域に貢献し、1882年には愛知県会議員に選出されました。彼の政治活動は、当時の地方自治の深化に大きな影響を与えました。1884年には賀茂報徳社を設立し、地域内での農業技術の向上、特に牛馬耕の普及に尽力しました。

当時、賀茂村は旱魃に苦しんでおり、彦九郎は村の有力者たちと協議する中で、農業用水を確保するために豊川から用水路を引く提案を行いました。このプロジェクトが実現するまでには、多くの困難がありました。1887年4月に用水路の工事が始まりましたが、暴風雨により一度は破壊されてしまいます。しかし、彦九郎は諦めず、再び計画を進め、牟呂湾の埋立てを目指す毛利祥久の新田開発とも合わせて、用水路の延長計画を推進しました。

1899年、彦九郎の尽力により牟呂用水が完成し、この用水路は地域の農業に大きな貢献を果たしました。以降、農業の生産性向上が期待され、村の発展にも寄与しました。

彦九郎は1907年7月20日に亡くなりましたが、その功績は後に地域の人々によって称えられました。1912年10月には、賀茂報徳社の社員の手により、現在の賀茂小学校校庭に「竹尾君紀功碑」が設置され、彼の業績を後世に伝えています。

彦九郎の生涯を通じて、地域に対する強い思いと、農業振興への熱意が伝わる彼の業績は、今なお愛知県豊橋市において重要な歴史の一部として受け継がれています。彼の功績は、単に農業の発展にとどまらず、その後の地域政治やコミュニティの形成にも寄与しました。

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