竹山逸郎

竹山逸郎の生涯と音楽

竹山逸郎（たけやま いつろう、1918年10月5日 - 1984年4月4日）は、昭和20年代に活躍した日本の歌手です。彼の本名は竹山逸平であり、静岡県浜松市に生まれました。音楽の道を歩む前に、彼は浜松第一中学校を卒業後、慶應義塾大学法学部に進学します。大学生活の中で彼の歌に対する情熱が高まり、コーラス部に所属して活躍しました。

卒業後は日本火災海上（現在の損害保険ジャパン）に就職しましたが、心の中で歌手としての夢を諦めきれず、1943年に日本ビクターから音楽界に踏み出すこととなります。戦後、彼のキャリアは飛躍的に伸び、多くのヒット曲を世に送り出しました。

特に注目すべきは、1947年にリリースされた「泪の乾杯」です。この曲は平野愛子の「港が見える丘」のB面に収録されており、大ヒットを記録しました。続いて、1947年には藤原亮子とのデュエット曲「誰か夢なき」、1948年に復員兵の中村耕造と共演した「異国の丘」、1949年に再び藤原亮子とのデュエットで「月よりの使者」等が続けてヒットし、彼の名を広めていきました。

竹山の音楽スタイルは、その時代の流行に合致しており、特に情感豊かで力強い歌声が多くのファンを魅了しました。しかしながら、彼の音楽活動は安定し続けたわけではなく、竹山を理解し、数々の楽曲を提供した作曲家・東辰三が1950年に急死した後は、ヒットに恵まれることは少なくなりました。

その後、キングレコードやテイチク、マーキュリーとレコード会社を渡り歩きましたが、1950年代に安定した人気を確立することには至りませんでした。テイチクに移籍した際には、同じくビクターから移籍した平野愛子と結婚しましたが、残念ながら後に離婚しています。

歌手活動を引退した後の晩年には学習塾を経営するなどの道に進みましたが、1984年4月4日、肝機能障害により65歳で亡くなりました。彼の葬儀は4月8日に練馬区内の教会で行われ、芸能関係者や多くのファンが彼を見送ったと言います。

竹山逸郎はその人生の中で、多くのヒット曲を残しました。主な作品には以下のような曲が含まれます。

• - 「泪の乾杯」（1947年）
• - 「誰か夢なき」（1947年、共唱：藤原亮子）
• - 「異国の丘」（1948年、共唱：中村耕造）
• - 「月よりの使者」（1949年、共唱：藤原亮子）
• - その他にも多くの名曲が世に出ています。

さらに、彼は1951年に音楽番組「NHK紅白歌合戦」にも出演しており、幅広い世代にその声が親しまれました。また、1964年にはテレビドラマ「戦友」の第17話「望郷の歌」にも出演するなど、音楽以外の分野でもその存在感を示しました。

竹山逸郎は、酒豪であり、麻雀好きとしても知られ、彼の性格は竹を割ったようにさっぱりしていたと言われています。その情熱的な友情や音楽への愛情は、彼の作品を通じて今なお多くの人々に受け継がれています。

もう一度検索