平野愛子

平野 愛子（ひらの あいこ）

平野愛子は、1919年1月4日に東京都新宿で生まれ、1981年11月22日に62歳で逝去しました。彼女は昭和期に活躍した日本の歌手で、特にシャンソン領域でその名を馳せました。さらに、シャンソン歌手の平野淑子は彼女の実娘です。

経歴

平野愛子は、歌手の四家文子や作曲家の大村能章に師事し、日本歌謡学院を卒業しました。彼女の音楽キャリアの始まりは、1945年の暮れにビクターレコードが行った全国歌手募集です。そこで、3000人という応募者の中からわずか7人という狭き門を突破し、ビクター専属の作家である東辰三の指導を受けながらその才能を開花させました。

彼女は、東辰三とのコンビにより数多くのヒット曲を世に送り出し、その独特の湿度を帯びた艶やかな歌声は「濡れたビロウド」と評されました。特に1947年4月に発表した「港が見える丘」は大ヒットを記録し、舞台となった横浜には「港の見える丘公園」が設立されました。この曲の歌詞とメロディは、神戸の港町を想起させるもので、大ヒットを受けて故郷に新たな名所を作ることにもつながりました。

その後も「君待てども」や「待ちわびて」をリリースし、「若きブルースの女王」として名を馳せました。1950年1月には「白い船のいる港」を発表し、再びヒットに恵まれました。しかし、彼女の歌手人生に深い影を落としたのは、師匠であり仲間でもあった東の急逝でした。この出来事以降は、大ヒット曲は生まれなくなりましたが、プライベートでは竹山逸郎と親交を深め、彼とともにテイチクやマーキュリーへと移籍しました。

晩年

平野愛子の晩年は、業界からは少し距離を置いていたものの、自宅で音楽教室を開きながら、時折『年忘れにっぽんの歌』などの歌番組に出演し歌手活動を続けていました。彼女の歌は、多くの聴衆に愛され続け、昭和歌謡の一時代を築いた存在として記憶されています。

1981年11月22日、平野は新宿の病院にて卵巣がんで亡くなりました。彼女の死は多くのファンと同業者に深い悲しみをもたらしました。平野愛子の歌声は、時代を超えて今なお多くの人々に感動を与え続けています。

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