竹林紀雄

竹林 紀雄（たけばやし のりお）

1958年2月12日、福岡県小倉市（現在の北九州市小倉北区）に生まれる。日本のテレビ演出家、プロデューサー、放送作家として知られ、特にドキュメンタリー分野における構成・演出力には定評がある。現在は文教大学情報学部メディア表現学科の学科長および教授、同大学院情報学研究科教授を務める傍ら、文化庁芸術祭執行委員や日本映画監督協会理事、湘南総合研究所所長といった要職にも就いている。

経歴

大学進学に伴い上京した1979年春、自主映画制作グループ「都会村」を立ち上げ、8ミリ映画の制作を開始する。その後、1981年から2年間、イメージフォーラム付属映像研究所にて映像表現を深く学ぶ。ここでは、松本俊夫や寺山修司をはじめとする、実験映画を中心にアートとしての映像表現を追求する指導者たちから薫陶を受けた。

1984年4月、日経映画社（のちの日経映像）に入社。テレビ大阪やテレビ東京の報道局、日本経済新聞社編集局映像企画部など、日本経済新聞グループ内の映像関連部門で経験を積んだ後、1994年6月からは日経映像制作本部にて活動した。

1986年3月、28歳でディレクターとなり、以来、ドキュメンタリー番組を中心に、報道、情報バラエティーなど幅広いジャンルのテレビ番組や映像作品の演出を手がける。2017年末までに、レギュラー番組や単発の特別番組を含め、450本を超える作品を演出した。

30代の頃は、プロダイバーとしての特技を生かし、海洋を舞台にしたドキュメンタリー番組制作に多くの力を注いだ。「テレビ初取材」を追求し、伊豆諸島・御蔵島沖の野生バンドウイルカや沖縄・与那国島沖の海底遺跡を取材した番組は、国内外で大きな注目を集め、1990年代のイルカブームや超古代史ブームを巻き起こす契機の一つとなった。

40代を迎える頃からは、被写体を「人の生きざま」に深く掘り下げるヒューマンドキュメンタリーへと制作の軸足を移した。最重度の障害を持つ夫婦とその子どもたちの日常を半年間にわたり追いかけた『ドキュメンタリー人間劇場・母ちゃんになりたい～脳性マヒみゆき・生きて愛して～』（1999年、テレビ東京）以降は、この分野を中心に作品を生み出し続けている。

2001年には東京造形大学の非常勤講師（映像芸術）を務めた。2007年3月末に主席プロデューサーとして在籍していた日経映像を退社し、フリーランスの活動を開始する。そして、2007年4月からは文教大学情報学部に着任し、現在に至る。

近年も、『ザ・ノンフィクション』（フジテレビ）などのドキュメンタリー番組の演出やプロデュースを行う一方で、FNSドキュメンタリー大賞、山形国際ドキュメンタリー映画祭、文化庁芸術祭といった主要な映像関連賞の審査委員を数多く務めている。

主な所属・活動

日本映画監督協会、日本アカデミー賞協会、放送批評懇談会に所属。また、日本映像学会、日本アニメーション学会、日本マス・コミュニケーション学会、日本島嶼学会といった学会に名を連ねている。

作品の一部

演出を手がけたテレビ番組は多岐にわたる。代表的なドキュメンタリーとしては『ドキュメンタリー人間劇場・母ちゃんになりたい』や『テレビ人間発見』シリーズ、近年の『ザ・ノンフィクション』などがある。報道番組、情報バラエティー、旅番組、バラエティーなど、様々なジャンルで活動した。海外向けインタビュー番組『Direct Talk』の構成・演出も担当している。

テレビ番組以外にも、アート映像作品として『青澄ＡＳＵＭＩ』や『活動寫眞Ｂ－１』、『活動寫眞Ｂ－２』などを企画・制作。総理府や全国銀行協会連合会、日経BP社などのVP、ITS関連の展示映像なども手がけた。学生時代から自主制作映画も継続しており、実験映画を含む複数の作品を制作している。

著書

『日本映画史叢書5 映画は世界を記録する～ドキュメンタリー再考～』（共著、2006年）に参加している。

関連人物

かわなかのぶひろ、松本俊夫、金井勝、鈴木志郎康、萩原朔美、松田政男、寺山修司といった師や、望月六郎、崔洋一、根岸吉太郎、平山秀幸、佐々部清、井坂聡などの映画監督、照屋林賢、桃井かおり、コシノヒロコ、中村吉右衛門といった被写体や協力者、あいはら友子など、多様な分野の人物との交流が見られる。

もう一度検索