竹沢弥七

竹澤 彌七（たけざわ やしち）について

竹澤彌七は、上方の義太夫節で名高い三味線方の名跡であり、代々の演者たちがその名を受け継いできました。この伝統ある名跡は、同じ系譜に連なる多くの芸人たちによって守られ、発展してきた歴史があります。

初代

初代竹澤彌七の生年は不詳ですが、宝暦4年（1754年）に没しました。彼は初代竹澤藤四郎の弟子として修行を始め、享保6年（1721年）には竹本座のワキとしての活動を開始しました。その後、延享2年（1745年）には越後座と小和泉座で三味線筆頭を務めたのち、豊竹座を経て再び竹本座に戻り、大坂で大きな人気を得ることになりました。

二代目

二代目竹澤彌七は、初代の弟子である竹澤駒吉が明和7年（1770年）に襲名しました。彼は竹本座や豊竹此吉座などを渡り歩きながら、その技術を磨いていきました。このように、彼の世代は初代の流れを受け継いでいくこととなります。

三代目

三代目竹澤彌七は安永6年（1777年）に生まれ、文政7年（1824年）に没しました。彼は初名竹澤源吉から竹澤仙左衛門、そして二代目竹澤權右衛門を経て、文化5年（1808年）に三代目を襲名しました。多才な彼は文化8年に初代豊澤廣助と名乗り、豊沢派の祖としても知られるようになりました。

四代目

四代目竹澤彌七は生年不詳で、天保4年（1833年）に亡くなりました。彼は大坂に生まれ、二代目の弟子である初代竹澤宗六が文政4年（1821年）に四代目を襲名しました。通称を「新町彌七」として親しまれました。

五代目

五代目竹澤彌七は泉州堺に生まれ、安政2年（1855年）に亡くなりました。初めは四代目の弟子であり、竹澤力造として活動を開始した後、二代目竹澤宗六を経て、天保6年（1835年）に五代目を名乗るようになりました。その後、四代目竹澤權右衛門を襲名しました。

六代目

六代目竹澤彌七は生没年不詳で、初めは五代目の弟子である瀧澤藏一から竹澤瀧藏を経て、文久2年（1862年）に六代目を襲名しました。

七代目

七代目竹澤彌七（天保2年（1831年） - 明治9年（1876年））は紀州に生まれました。彼は最初は六代目の弟子として竹澤瀧造と名乗り、明治2年（1869年）には大阪の堀江芝居での演奏で注目を集めました。その後、大三味線が流行したことにより、浄瑠璃界から一時追放されましたが、復帰を果たしました。

八代目

八代目竹澤彌七（弘化元年（1844年） - 大正5年（1916年））は京都生まれで、本名は上田彌造です。七代目の弟子として活動し、明治11年（1878年）に八代目を襲名しました。通称「因幡薬師」と呼ばれ、その名を知られるようになりました。

九代目

九代目竹澤彌七（慶応4年（1868年） - 昭和26年（1951年））は京都生まれで、本名は平岡勝次郎です。彼は八代目の門下で活動し、次々と名を改名しながら、昭和22年（1947年）に三代目竹澤藤四郎を襲名して復帰を果たしました。

十代目

十代目竹澤彌七（1910年 - 1976年）には多くの波乱がありました。彼は京都先斗町に生まれ、1969年まで続いた相三味線の活動がありましたが、1976年に失踪後、遺体が発見され、自殺と見られています。彼の晩年は、相方の八代目との別れによる辛い時期であり、その苦悩は鶴澤清治による創作浄瑠璃『弥七の死』に描かれています。

このように、竹澤彌七は多くの代を重ねながら、三味線の技術と芸を受け継ぐ重要な存在であり、ご多くの人々に愛され続けているのです。

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