竹澤権右衛門

竹澤権右衛門の名跡

竹澤権右衛門（たけざわ ごんえもん）は、義太夫節の三味線方として特異な地位を持つ名跡です。この名跡を引き継いできた歴代の継承者たちは、義太夫を広める役割を果たしてきており、その歩みは非常に興味深いものです。

初代権右衛門

初代竹澤権右衛門の生没年は不詳ですが、彼は和泉国尾崎に生まれました。井上播磨掾の弟子として技術を磨いた後、竹本義太夫に師事しました。1684年には、大坂道頓堀に竹本座を開設し、そこで義太夫を演奏したとされています。この時から、現在でも「野澤」「豊澤」「鶴澤」といった「澤」の姓が付けられるようになるなど、後の三味線方に大きな影響を与えました。彼は豊竹座でも活動し、引退後は弟子の指導に努めました。

2代目権右衛門

2代目は、初代権右衛門の系譜に従いながら、後に初代豊澤広助を名乗ることとなります。このように、彼は一派を形成し、一層の活動を展開していきました。

3代目権右衛門

3代目は、生没年不詳の竹澤権右衛門で、2代目の門弟が1813年にこの名を襲名しました。彼は「豊沢権右衛門」とも呼ばれており、権右衛門の名をさらに広める役割を果たしました。

4代目権右衛門

4代目権右衛門は、安政2年（1855年）に亡くなった人物で、泉州堺に生まれ、4代目竹澤弥七の弟子として学びました。彼は力造や2代目宗六を経て、1835年に5代目弥七を襲名し、その後に権右衛門の名を名乗りました。

5代目権右衛門

5代目権右衛門（本名は鶴沢重助）は、天保10年（1839年）に生まれ、大正15年（1926年）に亡くなりました。彼は幼名を卯之松と呼ばれ、「浮世小路の権右衛門」として知られています。大阪市北区堂島に生まれ、1849年には初代鶴澤燕三の弟子となり、燕四と名乗りました。1865年には4代目鶴澤才治を襲名し、その後、1914年に5代目権右衛門に戸籍名を戻しました。彼は2代目竹本津太夫（後の7代目竹本綱大夫）とともに相三味線で活躍し、その美声は高く評価されていました。

まとめ

竹澤権右衛門の名跡は、義太夫節の発展に多大な寄与を果たしてきたことは明らかです。代々続くその系譜には、音楽への情熱と技術の継承が詰まっており、今もなお人々に感動を与えています。

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