竹腰正富

竹腰正富について

竹腰正富（たけのこし まさとみ）は、文政元年6月30日（1818年8月1日）に生まれ、明治17年7月24日に亡くなった日本の歴史的な人物です。彼は尾張藩の附家老であり、同時に美濃国今尾藩の第9代当主でもありました。正富は、父である第8代当主竹腰正定の長男として誕生し、家の伝統を受け継ぎました。

正富には子どもがいなかったため、徳川義直の血筋が継承されることは正富の代で終わりを迎えました。その後、彼は養子として竹腰正厚や竹腰正旧を迎えました。彼の官位は従五位下・兵部少輔で、幼名は鉄太郎や万丸、号は篷月（ほうげつ）です。彼の生年については、文政2年（1819年）とも言われています。

最初の出仕と官位の昇進

天保3年（1832年）11月、正富は将軍徳川家斉に初めて御目見えしました。その後、12月27日に従五位下・壱岐守に叙任され、次第に山城守、さらには兵部少輔へと昇進しました。天保8年（1837年）11月21日、父・正定が隠居したことにより、正富は家督を継いだのです。

正富は尾張徳川家の後継者問題に対して積極的な姿勢を示しました。将軍家から養子を迎えるなど、藩の安定を図るために、成瀬正住と共に幕府側に立つことが多かったとされています。幕末期には「ふいご党」に近かったことも知られ、安政の大獄において14代藩主徳川慶勝が隠居すると、正富は15代藩主徳川茂徳の下で藩政を統括しました。

隠居と政治的な変動

文久2年（1862年）9月10日、正富は幕府から隠居を命じられ、家督は養子の正旧に譲ることになりました。この隠居の命令は、前藩主徳川慶勝の政治的復権に関連した措置でした。その後、同年9月14日には領地に戻ることを許可されず、差控を命じられました。

慶応4年（1868年）4月には新政府から旧幕府支持の態度により蟄居を命じられましたが、明治2年（1869年）3月10日には罪が赦されました。ただし、藩政への関与は禁止されていました。これにより正富の政治的な活動は制限され、実質的な権力を失うことになりました。

晩年と死去

正富は1884年7月24日に死去しました。彼の法号は「正五位竹腰正美君神儀」とされ、墓所は東京都港区虎ノ門にある天徳寺にあります。正富はまた、詩文や和歌、書道、茶道にも通じていたため、文化人としての側面も注目されます。

親族と系譜

正富の家系は竹腰正定（父）から始まります。彼の養子には竹腰正旧がいますが、こちらは三宅康直の四男として家系に加わりました。正富の代で、竹腰家の血筋は一度途絶えることとなりますが、その政治的影響力は、幕末から明治にかけての日本の歴史において重要な役割を果たしました。

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