笠岡湾干拓地

笠岡湾干拓地：豊かな大地と観光スポット

笠岡湾干拓地は、岡山県笠岡市の市街地南方に位置する広大な干拓地です。一般的に「笠岡干拓」と呼ばれており、農業用地を中心に「ベイファーム」という愛称でも親しまれています。

干拓の歴史と概要

笠岡湾の干拓は、1947年から始まった市街地西方の事業と、1966年から開始された本土と神島を結ぶ事業の2つがあります。現在「笠岡湾干拓地」と呼ばれるのは、後者の大規模な干拓事業によって造成されたエリアです。

この干拓事業は、笠岡市の中心市街地から神島にかけて広がっていた笠岡湾に、本土側の茂平地区と神島西部、生江浜地区と神島北部を結ぶ堤防を築き、湾を干拓して新たな陸地を造成するものでした。水深5m以内、18.07km2に及ぶ広大な水域を対象とし、1966年12月に事業が開始され、約22年の歳月と総事業費約300億円をかけて1990年3月に完成しました。この干拓によって、神島とその属島である片島・木之子島は陸続きとなりました。

ベイファーム：農業と観光の拠点

干拓地の大部分は農業用地として利用されており、その面積は約11.91km2に及びます。この農業用地は「ベイファーム」と名付けられ、花、野菜、果樹などの栽培や、乳牛、肉牛の酪農・畜産業が盛んに行われています。特に、菜の花畑やひまわり畑は観光スポットとして人気を集めています。

干拓地の西方沿岸部は工業用地として利用されており、その面積は約4.6 km2です。

用水は、高梁川から延長24kmの導水路を建設し、沿線各市町の工業用水・水道用水と合わせて確保されています。

干拓完成後の発展

干拓竣工後の1990年には、完成を記念した「食と緑の博覧会」が開催され、翌1991年には笠岡農道空港が開業しました。その後、1994年に「かさおか太陽の広場」が開園、2005年には「笠岡総合スポーツ公園」が開業し、2008年には地区内を縦断する笠岡バイパスの側道が開通、2011年には同道路沿いに「道の駅笠岡ベイファーム」が開業するなど、様々な施設が整備され、地域振興に貢献しています。

活性化に向けた取り組み

2004年には、岡山県と笠岡市が共同で所有する笠岡湾干拓粗飼料基地の有効活用のため、市・市議会議員・県議会議員・商工会議所・干拓土地改良区・地元農家・民間団体などが中心となり、「笠岡湾干拓粗飼料基地活性化促進期成会」が発足しました。

笠岡市は「笠岡湾干拓地活性化プラン」を策定し、「大地が育む儲かる農づくり」「環境にやさしい麗しの農づくり」「ふれあいと癒しの農づくり」を活性化の3本柱としています。具体的には、農産物のブランド化、企業の農業参入、家畜排泄物栽培、減農薬栽培、堆肥エネルギーバイオマス活用、農産物の直売、市民交流などが挙げられています。

この取り組みの結果、2006年にはドールが干拓地内に進出を決定し、現地農業法人「I LOVE ファーム 笠岡」を設立。栽培除草剤無使用のブロッコリーを栽培しています。ブロッコリーを中心に1 km2規模（甲子園球場25個分）の栽培や干拓農家との契約栽培などを計画しています。

地域区分と地勢

干拓地は、平成町、カブト東町、カブト中央町、カブト西町、カブト南町、拓海町（以上農業用地）、港町、鋼管町（以上工業用地）などの大字に分かれています。笠岡市は行政上の広域地区として、農業用地の大字をまとめて平成カブト、工業用地の大字をまとめて鋼管と設定しています。

かつて島嶼だった片島、木之子島も干拓地に含まれます。笠岡湾は干拓により縮小し、現在は細長い入江状となっています。

イベントと主要施設

ベイファーム笠岡マラソン、千本桜、菜の花畑、笠岡ふれあい空港ラジコンフライトショー、ひまわり畑、空と大地のひまわりカーニバル、空と大地のカーニバルなど、年間を通して様々なイベントが開催されます。

主要な施設としては、井笠広域クリーンセンター、井笠広域粗大ゴミ処理センター、リサイクルプラザ、干拓中央管理事務所、笠岡湾干拓粗飼料基地、寺間排水機場、片島排水機場などの行政施設や、種苗センター、JAかさや農産物出荷場、JFEスチール西日本製鉄所福山地区などの事業所、笠岡総合スポーツ公園、かさおか太陽の広場などの公園施設があります。

笠岡湾干拓地は、農業、工業、観光が調和した、魅力あふれる地域です。ぜひ一度訪れてみてください。

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