笠松宏至

笠松 宏至（かさまつ ひろし） - 日本の歴史学者

笠松宏至は1931年8月8日に生まれ、日本の歴史学界で特に中世史において重要な役割を果たしてきた学者です。彼は東京大学の名誉教授であり、日本中世法の研究における権威として知られています。

学歴とキャリアの道のり

彼は東京大学の文学部国史学科を1955年に卒業し、その後大学院人文科学系国史学専攻で修士課程を1977年に修了しました。1962年には東京大学史料編纂所の助手として研究の道をスタートさせ、その後助教授、教授と昇進しました。1992年3月には定年退職を迎え、名誉教授の称号を得ました。

その後も神奈川大学にて歴史民俗資料学研究科の教授を務め、学問の発展に貢献しました。東京大学では佐藤進一教授に師事し、資料の厳密な解釈を学ぶことで、多くの研究成果を上げました。

主な著書と功績

笠松氏は多数の著書を執筆しており、彼の研究成果は日本中世史の理解を深めるための重要なリソースとして位置付けられています。1979年に発行された『日本中世法史論』は、彼の専門である中世の法令制度を扱った重要な著作です。1983年には、岩波新書から『徳政令 中世の法と慣習』を出版し、中世における法と慣習の関係を探求しました。2022年には同著書が講談社学術文庫に再版されるなど、常に新たな形式で読者に届けられています。

また、1984年には『法と言葉の中世史』が発行され、この作品が評価されて平凡社ライブラリーにも収録されました。1997年には『中世人との対話』を出版し、中世の人々との交流やその生活に関する見解を示しています。

さらに、彼は共著や編著による活動も盛んに行い、1983年には網野善彦、石井進、勝俣鎭夫との共著による『中世の罪と罰』を発表しました。この著作は中世の司法制度や社会における罪と罰の関連について分析しています。1994年には佐藤進一、網野善彦との共著で日本中世史に光を当てる『日本中世史を見直す』が登場。また、2000年には網野善彦との対談『中世の裁判を読み解く』が発表され、2023年には新版も加わりました。

彼の編著の中でも1971年に出版された『日本の名著9　慈円　北畠親房』は、歴史的著作を現代に翻訳するという試みにより、古典の理解を手助けしました。また、1992年の『法と訴訟』は法学と歴史が交差する重要な資料となっています。

結論

笠松宏至氏は日本の歴史学界において多大な貢献をしており、特に中世法学の分野においてはその権威が確立しています。彼の研究は日本中世史の理解において欠かせないものであり、その成果は後の世代に渡って引き継がれるでしょう。

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