平凡社ライブラリー

平凡社ライブラリーとは

平凡社ライブラリーは、平凡社による叢書レーベルであり、1993年に創刊されました。このシリーズは、文庫本よりもやや大判のHL判（ライブラリー版）として知られています。一般的な新書と文庫のサイズの中間に位置し、学術書や教養書、文学書の再刊や増訂版が中心です。これは、新潮文庫や文春文庫と異なり、選書に特化した性格を持っています。

特徴

平凡社ライブラリーでは、特に「東洋文庫」「中国古典文学大系」「平凡社選書」「叢書テオリア」など、他の同社出版レーベルからの再刊書目が多く取り扱われています。また、平凡社以外の出版社からも選書や新書版として刊行された書物が再刊されることがあります。さらに、新訳版も多数出版されており、ローマの古典的な作品である『ガリア戦記』なども含まれています。

同様の特徴を持つ他の叢書、例えば講談社学術文庫、ちくま学芸文庫、岩波現代文庫、中公クラシックスなどと比較しても、平凡社ライブラリーは高価格で、専門性が高いことで知られています。収録される書物の中には、網野善彦の『異形の王権』や加藤周一の『加藤周一セレクション』、岩井克人の『会社はこれからどうなるのか』など、大学紀要やハードカバーで初めて発表された名著が多く含まれています。

このような背景から、平凡社ライブラリーは日本の読書文化を支える「ライブラリー」、すなわち図書館のような存在を目指しています。編集方針として、日本の読者が築くべき重要な書物を収蔵することが強調されており、名著を再評価し広く共有する重要なプラットフォームともなっています。

オフシリーズ

さらに、平凡社ライブラリーでは「平凡社ライブラリー offシリーズ」という読みやすい書籍も少数ですが発売されています。このシリーズでは、特に若い読者や幅広い読書層に向けた内容となっています。また、一旦品切れとなった書目も、新装版として再刊されることがあり、たとえば『オーウェル評論集』のように再び手に取れる機会も提供されています。

関連項目

平凡社ライブラリーの周辺には、いくつかの他のレーベルが存在します。例えば、1963年に発足した「平凡社東洋文庫」はアジアやイスラーム、日本の古典に焦点を当てた書物を中心に展開しています。また、岩波書店による「岩波現代文庫」は平凡社ライブラリーと同じサイズで、叢書レーベル「岩波同時代ライブラリー」の流れを汲んでいます。さらに2001年に設立された「中公クラシックス」は、歴史や思想に基づいた古典作品の改訂再刊を行っています。これらのレーベルは、平凡社ライブラリーと同様に、日本の書籍文化の一翼を担っています。

まとめ

平凡社ライブラリーは、専門的な内容を取り扱う貴重な叢書レーベルとしての地位を確立しています。読書人が深く知識を得られるような、選りすぐりの名著を再刊することで、思想の伝承にも貢献しています。その存在は、単なる書籍の提供にとどまらず、日本における学問の発展にも寄与していると言えるでしょう。

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