日本の名著

『日本の名著』は、中央公論社が1969年から1982年にかけて刊行した全50巻に及ぶ叢書です。この叢書は、日本の思想、文化、歴史を理解する上で非常に重要な役割を果たしており、古代から近代に至るまでの著名な思想家や文学者の著作を幅広く網羅しています。

この叢書の大きな特徴は、収録された文献の時代背景に応じて、その表現方法を使い分けている点です。具体的には、近世以前の文献については、現代の読者にも理解しやすいように現代語訳を軸に構成されています。一方、明治以降の文章については、原文を尊重し、可能な限りそのままの形で収録されています。これにより、読者は各時代の文章のニュアンスや特徴をより深く理解することができます。

また、1983年から1984年にかけて刊行された「中公バックス」版では、ペーパーバック版としてより多くの読者に手に取りやすくなりました。

『日本の名著』に収録されている著作は、現在でも多くの研究者や学生にとって貴重な資料となっています。また、中公クラシックスや講談社学術文庫といった他の叢書で改訂再刊されているものもあり、その重要性は今日でも失われていません。

以下に、収録されている主な著作と責任編集者を一覧で示します。

日本書紀: 井上光貞（1971年）
聖徳太子: 中村元（1970年）
最澄、空海: 福永光司（1977年）
源信: 川崎庸之（1972年）
法然、明恵: 塚本善隆（1971年）
親鸞: 石田瑞麿（1969年）
道元: 玉城康四郎（1974年）
日蓮: 紀野一義（1970年）
慈円、北畠親房: 永原慶二（1971年）
世阿弥: 山崎正和（1969年）
中江藤樹、熊沢蕃山: 伊東多三郎（1976年）
山鹿素行: 田原嗣郎（1971年）
伊藤仁斎: 貝塚茂樹（1972年）
貝原益軒: 松田道雄（1969年）
新井白石: 桑原武夫（1969年）
荻生徂徠: 尾藤正英（1974年）
葉隠: 奈良本辰也（1969年）
富永仲基、石田梅岩: 加藤周一（1972年）
安藤昌益: 野口武彦（1971年）
三浦梅園: 山田慶児（1982年）
本居宣長: 石川淳（1970年）
杉田玄白、平賀源内、司馬江漢: 芳賀徹（1971年）
山片蟠桃、海保青陵: 源了円（1971年）
平田篤胤、佐藤信淵、鈴木雅之: 相良亨（1972年）
渡辺崋山、高野長英: 佐藤昌介（1972年）
二宮尊徳: 児玉幸多（1970年）
大塩中斎: 宮城公子（1978年）
頼山陽: 頼惟勤（1972年）
藤田東湖: 橋川文三（1974年）
佐久間象山、横井小楠: 松浦玲（1970年）
吉田松陰: 松本三之介（1973年）
勝海舟: 江藤淳（1978年）
福沢諭吉: 永井道雄（1969年）
西周、加藤弘之: 植手通有（1972年）
陸奥宗光: 萩原延寿（1973年）
中江兆民: 河野健二（1970年）
陸羯南、三宅雪嶺: 鹿野政直（1971年）
内村鑑三: 松沢弘陽（1971年）
岡倉天心、志賀重昂: 色川大吉（1970年）
徳富蘇峰、山路愛山: 隅谷三喜男（1971年）
内藤湖南: 小川環樹（1971年）
夏目漱石、森鷗外: 真継伸彦（1974年）
清沢満之、鈴木大拙: 橋本峰雄（1970年）
幸徳秋水: 伊藤整（1970年）
宮崎滔天、北一輝: 近藤秀樹（1982年）
大杉栄: 多田道太郎（1969年）
西田幾多郎: 上山春平（1970年）
吉野作造: 三谷太一郎（1972年）
河上肇: 住谷一彦（1970年）
柳田国男: 神島二郎（1974年）

これらの著作は、日本の歴史や文化、思想を学ぶ上で欠かせない重要な資料であり、それぞれの分野における第一人者によって責任編集されています。

『日本の名著』は、日本の思想や文化に関心のあるすべての人々にとって、貴重な知的財産と言えるでしょう。この叢書を通じて、読者は日本の歴史と文化に対する理解を深め、より豊かな知識と教養を身につけることができるでしょう。

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