笠森稲荷

笠森稲荷神社：皮膚病平癒の霊験あらたかな歴史と信仰

大阪府高槻市に位置する笠森稲荷神社は、古くから人々の篤い信仰を集めてきた神社です。別名、笠森神社とも呼ばれ、その歴史は古く、創建年代は定かではありませんが、地元の豪族である笠氏が、稚武彦命と鴨別命を祀って創設したと伝えられています。中世以降は、この地の領主であった真上氏からも厚い崇敬を受けていました。

笠森神社の名称は、笠の字を「瘡（かさ）」と訓読みすることから来ており、古くから皮膚病平癒の神として信仰されてきました。そのため、皮膚病のみならず、梅毒といった重篤な疾患の治療にも霊験があるとされ、江戸時代後期にはその信仰は各地へと広がっていきました。

現在も、病気平癒を祈願する参拝者も多く、治癒を願って土の団子を供え、治癒後に米の団子を供えるという信仰が続けられています。神社境内には、樹高22.5メートル、幹周3.54メートルにも及ぶムクノキの古木がそびえ立ち、高槻市の保存樹木にも指定されている（1988年3月1日告示）など、歴史の重みを感じさせる景観となっています。参拝は毎月1日、5日、15日、25日のみ、午前8時から午後5時までとなっています。

江戸時代の笠森稲荷と勧請

江戸時代には、笠森稲荷神社は東京の谷中や小石川などにも勧請されました。それぞれの地で、人々の信仰を集め、独自の物語を育んできました。

谷中：
谷中感応寺（後に天王寺と改称）の塔頭である福泉院境内に祀られていました。この地の稲荷社には、「鍵屋」という水茶屋で働く看板娘、お仙（笠森お仙）という女性が有名でした。明治時代に入り、福泉院が廃寺となると、稲荷社は東叡山寛永寺の子院である養寿院へ遷座しました。その後、元の場所には功徳林寺が建立され、改めて笠森稲荷が祀られることとなりました。

小石川：
小石川御薬園となる予定の地に勧請された稲荷社は、後に大円寺へ遷座しました。明治時代の神仏分離令によって、稲荷社は本地仏である瘡守薬王菩薩として祀られることとなりました。

このように、笠森稲荷神社は、高槻市のみならず、江戸時代においても広く信仰を集め、現在に至るまで人々の生活に深く関わってきたことが分かります。その歴史と信仰、そして境内にあるムクノキの古木など、見どころも多い神社です。 崇敬を集める理由の一つとして、皮膚病平癒のご利益があると信じられていたことが挙げられます。土の団子を供え、平癒後に米の団子を供えるという独特の信仰慣習も、長く受け継がれてきました。神域には、高槻市の保存樹木に指定されているムクノキの大樹があり、その歴史の深さを物語っています。開門日は毎月1、5、15、25日と限られており、その希少性も、参拝客の敬虔な思いをさらに深めているのかもしれません。

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