笠置 (空母)

笠置（かさぎ）について

笠置（かさぎ）は、未成の日本海軍航空母艦であり、雲龍型航空母艦の4番艦として計画されました。この艦名は、京都府に位置する笠置山に由来しており、明治時代に存在した笠置型防護巡洋艦の1番艦「笠置」に次ぐものです。本艦は1943年4月14日に三菱重工業長崎造船所で起工し、その建造は長崎造船所で進められました。

特徴

笠置は、特に工事簡易化を図るためにその煙突デザインが変形六角形であることが予定されていましたが、実際には楕円形で作られました。また、その飛行甲板の前端は左右が斜めにカットされた形状となっています。虽然、進捗は順調ではなく、当初予定された機関は改鈴谷型重巡洋艦（伊吹「第301号艦」）からの流用が決定されました。25mmの3連装機銃座の設置は、葛城艦と同様に22基分が用意され、これらの構造には当初設計された丸角と増設による多角形のものが雑に混在しています。

アイデンティティを感じさせる艦首の射撃指揮装置はかなり前方に配置され、その周囲にはさらなる防御力を高めるための装備が見受けられました。戦後に撮影された写真には、噴進砲用のスポンソンも確認できるなど、その構造の多様性が窺えます。

歴史

本艦の歴史は、1942年（昭和17年）度に策定された改⑤計画から始まります。そして、1944年9月5日には正式に「笠置」と命名され、雲龍型艦の4番艦として本籍が横須賀鎮守府に仮定されました。その後、同年10月19日に進水し、12月には艤装員事務所が設置されました。特に興味深いのは、大和型戦艦の改造空母「信濃」が撃沈された後の乗組員が、多くが笠置艤装員に任命された点です。

当初、この艦は1945年6月に完成予定でしたが、工員不足などの理由により、工事は大幅に遅れることとなりました。これに伴い、多くの艦長が異動してしまい、ついには1945年4月1日に建造が中止される運命を辿りました。進捗はおおむね84％でありましたが、同年4月15日に自力航行不能として佐世保へ曳航されました。終戦の際には、仮設の操船指揮用台がすでに飛行甲板上に設けられていました。

戦後、笠置は解体される運命にあり、1946年9月1日から佐世保船舶工業によって壊され始めました。最終的に1947年に解体作業は完了し、合計10,280トンの鋼材が回収されました。

艤装員長

艦長は大石保大佐が1945年1月20日から3月5日までその職務を務め、その後室田勇次郎大佐に交代しました。彼の任命の後、さらに多くの人員の異動がありました。

このように、笠置には多くの計画と期待があったものの、その実現には至らず、兵器としての道を全うすることはありませんでした。この艦は、戦時中の日本海軍の艦艇の中で、惜しまれる存在として記憶に残ることとなります。

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