笠間城

笠間城

笠間城は、茨城県笠間市の佐白山に位置する日本の城で、かつて笠間藩の藩庁が置かれていました。

歴史

笠間城の歴史は鎌倉時代に遡ります。当時、この地域では真言宗の正福寺と徳蔵寺という二つの寺院が勢力争いを繰り広げており、正福寺が劣勢に立たされていました。正福寺は下野守護の宇都宮頼綱に援軍を要請し、頼綱は甥の笠間時朝を派遣しました。元久2年（1205年）、時朝は徳蔵寺の僧兵と戦うための拠点として佐白山の麓に麓城を築城し、徳蔵寺を討ち滅ぼしました。しかし、麓城があまりにも大規模であったため、味方であるはずの正福寺の僧兵までもが時朝に敵対するようになりました。最終的に時朝は正福寺と徳蔵寺を滅ぼし、承久元年（1219年）には佐白山の頂上に堅固な城を築きました。これが笠間城の始まりです。

その後、笠間氏は18代にわたって笠間を治めました。南北朝時代には、5代目の笠間泰朝が南朝に属して勤王の兵を挙げ、北朝の佐竹義春の攻撃を受けましたが、籠城戦の末にこれを撃退しました。

天正18年（1590年）の小田原征伐の際、18代目の笠間綱家が宗家の宇都宮氏に背き、その結果、宇都宮氏に攻められて滅亡しました。一説には、笠間氏が後北条氏に味方したために宇都宮氏に攻められたとも言われていますが、笠間綱家が宇都宮氏に従って小田原征伐に参加した記録もあるため、別の理由があったと考えられています。その後、一時的に宇都宮氏が笠間を支配し、蒲生郷成が入城して城を織豊系の城郭に改修しました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの後には、松井松平家、小笠原氏、戸田松平家、永井氏などが城主を務めました。その後、外様大名の浅野氏、井上氏、本庄氏などが入れ替わり立ち代わり城主となり、最終的には牧野貞通が入城し、以後、牧野氏が8代にわたって笠間を治め、明治の廃藩置県を迎えることとなりました。

沿革

元久2年（1205年）：宇都宮頼綱が塩谷朝業を派遣し、笠間の地を占拠。
承久元年（1219年）：朝業の子、時朝が佐白山に築城を開始。
嘉禎元年（1235年）：笠間城が完成。
天正18年（1590年）：笠間綱家が宇都宮氏に背き、宇都宮氏勢に攻められ落城。
文禄元年（1592年）2月：宇都宮国綱の家臣、玉生勝昌が笠間城主として入城。
文禄2年（1593年）11月8日：玉生勝昌が没し、子の範昌が城代となる。
文禄4年（1595年）3月15日：玉生範昌が笠間城から岡本城に遷る。
慶長3年（1598年）：蒲生郷成が3万石で封じられ笠間城に入城、城域を整備。
慶長6年（1601年）：蒲生郷成が除封され、松平康重が入城。
永享4年（1747年）：牧野貞通が8万石で封じられ、以後、牧野氏が明治維新まで笠間を治める。
明治3年（1871年）：廃藩置県。
明治6年（1873年）：廃城令により廃城処分。
平成29年（2017年）4月6日：続日本100名城（112番）に選定。

構造

笠間城は、佐白山の山頂にある天守曲輪を中心に、東から北にかけての山腹に郭が連なる構造をしています。天守曲輪と大手道には石垣が多用されており、関東の城郭としては珍しい特徴です。天守曲輪には天守台が設けられ、2重の天守が建てられていました。

主郭部は、天守曲輪から本丸、二の丸、大手門にかけての郭群で構成されています。北方の谷に面した尾根上には、横堀を伴う複数の郭が存在します。本丸の南方にも横堀があり、東端は竪堀となって山麓に続いています。居館は、佐白山の北東山麓に置かれていました。

天守

天守は2重で、「常盤国笠間之城絵図」（正保城絵図）には天守曲輪にその姿が描かれていますが、具体的な外観や構造は不明です。笠間城の廃城後、解体された天守の用材は佐志能神社（笠間城天守台に所在）の拝殿に使用されています。中井均は、転用材を使用した拝殿の状態から、天守をそのまま改築して造ったものと推測しています。また、田中嘉彦（笠間史談会会長）は調査によって、天守は移築現存する八幡台櫓とほぼ同一の構造であったと推測しています。

遺構

山上の遺構は良好な状態で保存されており、一部に後世の手が加えられているものの、石垣や堀などが残っています。山麓居館部は佐白山麓公園として整備され、公開されています。

建造物の遺構としては、本丸八幡台上にあった八幡台櫓が真浄寺に移築され現存し、「笠間城櫓」として茨城県の文化財に指定されています。また、薬医門形式の城門2棟が市内の民家に移築され現存しています。

脚注

笠間城跡（笠間市公式ホームページ内）

関連項目

日本の城一覧#茨城県
茨城県の城#笠間市

外部リンク

笠間城跡（笠間市公式ホームページ内）

もう一度検索