松平康重

松平康重は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将であり、大名です。松井松平家の初代としてその名を刻んでいます。父は駿河国三枚橋城主の松平康親で、康重は長男として生まれました。

元服の際、徳川家康から「康」の字を授かり、当初は康次と名乗っていましたが、後に康重と改名しています。家康が東海地方にいた頃、父の跡を継ぎ、駿河国沼津城の守備役として後北条氏と約8年間にわたり対峙しました。この間、康重は優れた武将としての才能を示しました。

小田原征伐後、徳川家康が関東に移封されると、康重は武蔵騎西に2万石を与えられました。その後、文禄4年には豊臣姓を下賜されています。慶長6年には常陸笠間3万石に加増され、さらに慶長13年には丹波国篠山藩5万石へと加増移封されました。元和5年には、大坂平野南方の要衝である和泉岸和田に移封され、この地で藩政を担いました。

康重は、寛永11年に従四位下に叙任され、その功績が認められました。寛永17年6月27日、73歳でこの世を去り、その跡は次男の康映が継ぎました。

また、康重には徳川家康の落胤であるという説も存在します。この説によれば、康重の生母は家康の侍女であり、家康の子を身ごもったまま康親に嫁いだとされています。康重の子孫が代々「康」の字を通字として用いていることも、この説を補強する根拠の一つとされています。

康重の系譜は以下の通りです。

父: 松平康親
母: 松平重吉の娘
正室: 石川康通の娘
継室: 徳永寿昌の娘
子女:
松平康政（長男）
松平康映（次男）
松平康命
松平康紀
松平康敬（五男）
松平康久（七男）
林（亀井政矩正室）
光明院（小笠原長次正室）
西園寺公満室
牧野康成正室
松平利綱正室
竹中重義正室
岡田元直室
貫名重用室
貝塚某室

このように、松平康重は戦国時代から江戸時代初期にかけて、武将、大名として重要な役割を果たし、その生涯は多くの興味深いエピソードに彩られています。

参考文献:
村川浩平『日本近世武家政権論』近代文芸社、2000年。
川口素生『戦国武将 逸話の真実と謎』学習研究社、2007年。

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