符頭

符頭（ふとう）とは、楽譜に用いられる音符を構成する基本的な要素の一つです。「たま」と呼ばれることもあります。

符頭の役割と形状

その標準的な形状は楕円形であり、五線譜上のどの位置に配置されるかによって、楽譜が示す音の高さ、すなわち音程が決定されます。

また、符頭の内部が塗りつぶされているか（中黒、黒）、または塗りつぶされていないか（白抜き）によって、その音符が持つ長さ、すなわち音価（リズム上の持続時間）が示されます。

音符の構成要素として、最も長い音価を持つ全音符の場合、符頭のみで音符全体が構成されます。一方、全音符より短い音価の音符には、符頭に加えて「符幹（ぼう）」と呼ばれる縦線が結合されます。さらに、符幹には「桁（けた）」や「符尾（はた）」が付加されることがあります。

特殊な形状を持つ符頭も存在します。
アルファベットの「x」の形をした符頭は、主にパーカッション楽器の演奏や、特定のパーカッション的な効果音（例えばゴーストノート）、あるいは発声を示すために用いられます。
正方形、ダイヤモンド形、箱形といった特殊な形状の符頭は、倍音列に含まれる自然な高調波や、人工的に生成された高調波を記譜する際に使用されることがあります。

歴史的変遷

符頭の歴史は、中世のグレゴリオ聖歌で用いられたネウマ記譜法に究極的に由来します。ネウマの最も単純な形態である点は、現代の符頭の原型と見なすことができます。初期の記譜法においては、符頭の位置が音部記号との関連で相対的な音高を示す役割を担っていました。

符頭の色を用いてリズムの長さを区別するようになったのは、1450年頃に広まった白譜定量記譜法においてです。それ以前、13世紀後半には、作曲家で音楽理論家のケルンのフランコが、リズム記譜法に関するシステムを体系化しました。彼の著書『測定可能な音楽の技術』（Ars Cantus Mensurabilis、1280年頃）の中で説明されたこのシステムでは、音符の形自体が相対的な長さを示しており、符頭は音価に応じて長方形、正方形、あるいはダイヤモンド形をしていました。このシステムは、その後のアルス・ノーヴァの時代にさらに発展・拡張されました。

ルネサンス期に入る少し前、筆写たちはフランコやアルス・ノーヴァ様式の音符を、中が空洞の符頭で書き写すようになりました。ルネサンス時代に入ると、作曲家たちはより短い音価を示すために、中を塗りつぶした符頭を持つ音符を新たに導入しました。そして16世紀の終わり頃には、それまで用いられていた正方形やダイヤモンド形の符頭が、現在広く使われている丸い（楕円形の）符頭へと変化していきました。

符頭は、このように音高と音価という楽譜の基本情報を視覚的に伝える、記譜法の中核をなす要素であり、その形状や役割は歴史を通じて変化・発展してきました。

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