第一回全国基督教信徒大親睦会

第一回基督教信徒大親睦会

第一回基督教信徒大親睦会は、1878年7月15日から3日間、東京築地の東京公会(新栄橋教会)を会場に開催された、日本におけるプロテスタント信者初の全国的な親睦会です。この集会は、当時の日本のプロテスタント教会が直面していた課題や、今後の伝道方針について議論する場として重要な役割を果たしました。

歴史的背景

1872年に横浜で日本最初のプロテスタント教会が設立されてからわずか6年で、国内のプロテスタント教会数は44、信者数は1600人を超えるまでに成長しました。この急速な発展の中で、プロテスタント・キリスト教徒たちは、日本における伝道活動の方策を議論し、互いに交流を深める必要性を感じ、この親睦会が企画されました。

会議の様子

全国各地から牧師、長老、信徒代表が集まり、毎日500人から600人、延べ1500人以上が参加しました。東京基督公会に集結した参加者たちは、各地の教会の現状を報告し、熱心な演説を繰り広げました。この集会の様子は、当時の新聞「七一雑報」や「六合雑誌」にも報道され、社会的な注目を集めました。

参加者

この親睦会には、後の日本キリスト教界を担う多くの人物が参加しました。

津田仙（津田梅子の父）
海老名弾正（群馬安中教会）
押川方義（新潟の新潟公会）
沢山保羅(大阪浪花教会)
中村敬宇
小川義綏（東京公会）
上代知新

逸話

この集会では、参加者たちの間で様々な逸話が生まれました。

海老名弾正は、集会の感想を求められて「とにかく暑かった」と答えたというエピソードは、当時の集会の様子を物語っています。
押川方義は、仏教勢力の迫害が激しかった新潟から参加しており、自身も命の危険に晒された経験から、「城を枕に討ち死にするんだ」という悲壮な決意を表明しました。
歓談の際には、京都代表の上代知新が「東京の連中は酒を飲むものがいるのでけしからん」と発言したのに対し、東京の参加者からは「西からの参加者はパリサイ人が多い」と応酬するなど、ユーモラスなやり取りもありました。

意義

第一回基督教信徒大親睦会は、日本のプロテスタント教会が一致協力して伝道活動を進める上で重要な一歩となりました。この集会を契機に、教派を超えた連携が深まり、日本のキリスト教の発展に大きく貢献しました。

参考文献

土肥昭夫『日本キリスト教歴史大事典』教文館、1988年
守部喜雅『日本宣教の夜明け』、（マナブックス）いのちのことば社、2009年
中村敏『日本キリスト教宣教史』いのちのことば社,2009年

関連項目

第二回全国基督教信徒大親睦会(1880年7月、大阪)
[第三回全国基督教信徒大親睦会]
第四回全国基督教信徒大親睦会(1885年5月、京都)

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