第一次朝鮮スパイ事件

第一次朝鮮スパイ事件

第一次朝鮮スパイ事件は、1950年（昭和25年）に発覚した北朝鮮によるスパイ事件です。この事件では、北朝鮮から潜入した工作員が日本国内で諜報活動を行い、逮捕されました。事件は、1949年（昭和24年）8月に島根県隠岐島から密入国した北朝鮮工作員の許吉松（本名：岩村吉松）が中心となって展開されました。

事件の概要

許吉松は、北朝鮮内務省政治保衛局（現在の国家保衛省）所属の少佐であり、在日スパイ網の首魁として活動しました。彼の主な任務は、工作員の獲得、在日スパイ網の統合、極東コミンフォルムとの秘密連絡、そして在日米軍や警察予備隊の軍事情報の収集でした。

許吉松は、約100名もの軍事スパイを束ね、全国の米駐留軍の軍事情報を収集し、北朝鮮に報告していました。1950年6月25日に朝鮮戦争が勃発すると、北朝鮮は軍事スパイ網の活動を活発化させ、在日米軍の動向や軍事物資の輸送状況、同年8月に創設された警察予備隊の編成や配置、装備に関する情報収集を強化しました。

事件の発覚と逮捕

1950年9月9日、警視庁などは許吉松（当時37歳）を含む40名を逮捕しました。この事件により、最終的に13人が軍事裁判にかけられることになりました。

裁判と判決

[1951年]]7月11日、警視庁内の特設軍事法廷（連合国軍最高司令官総司令部]の[[軍事裁判）において、首謀者の許吉松は重労働10年、罰金5000ドル、服役後強制送還の判決を受けました。他の被告の判決は以下の通りです。

B: 重労働8年、罰金2500ドル、服役後強制送還
C: 重労働6年、罰金1000ドル、服役後強制送還
D: 重労働6年、罰金1000ドル、服役後強制送還
E: 重労働5年
F: 重労働5年
G: 重労働4年
H: 重労働4年
I: 重労働3年
J: 重労働2年
K: 重労働1年
L: 重労働1年
M: 重労働1年

許吉松のその後

許吉松は1957年（昭和32年）に北朝鮮へ出国しました。

事件の背景と影響

この事件は、朝鮮戦争勃発直後の混乱期に発生し、当時の日本国内における治安維持の重要性を浮き彫りにしました。また、北朝鮮によるスパイ活動の実態を示す事例として、その後の情報機関の警戒強化に繋がったと考えられます。

参考文献

外事事件研究会『戦後の外事事件―スパイ・拉致・不正輸出』東京法令出版、2007年10月。ISBN 978-4809011474。
清水惇『北朝鮮情報機関の全貌―独裁政権を支える巨大組織の実態』光人社、2004年5月。ISBN 4-76-981196-9。
高世仁『拉致 北朝鮮の国家犯罪』講談社〈講談社文庫〉、2002年9月（原著1999年）。ISBN 4-06-273552-0。
諜報事件研究会『戦後のスパイ事件』東京法令出版、1990年1月。

外部リンク

* [特定失踪者問題調査会]]特別調査班 (2021年1月25日). “[第1次朝鮮スパイ事件（日本における外事事件の歴史1）”. 調査会ニュース. 特定失踪者問題調査会. 2022年2月22日閲覧。

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