第一青函丸

第一青函丸とは

第一青函丸（だいいちせいかんまる）は、鉄道省が運営する青函航路において使用された自航式の車両渡船であり、特に鉄道車両の輸送に特化した設計がなされています。この船は青函航路で初めて車両を専用に扱う船として建造されたことから、輸送手段として重要な役割を果たしました。なお、青函丸という名称を持つ船の中で、第一青函丸は最初のものと位置付けられています。

建造の経緯

1914年に第一次世界大戦が勃発し、海運において貨物輸送が逼迫する中、青函航路でも同様の状況が発生しました。特に1918年以降には渋滞が起こり、貨物の輸送力強化が急務となりました。当時の鉄道院は、船舶の輸送力拡充を図るため、車両航送の導入を決定しました。そして、1925年に着工し、1926年に竣工したのが第一青函丸です。

船の概要

第一青函丸は、1926年12月12日に青函航路での就航を開始しました。この船は通常の旅客扱いは行わず、家畜輸送に付随する付添人用の客室を備えていました。しかし、震災復旧の影響で船の値段を抑える必要があり、航海の速力は11ノットに制限されていました。その結果、青森と函館の間は6時間かかり、1日1往復半の運航しかできない状態でした。

船体構造

全長111.56メートルで、翔鳳丸型よりも約2メートル長く、その構造は岸壁や可動橋と共通しています。車両甲板には4本の軌道が敷設され、多くの車両を収容できるようになっていました。具体的には、ワム型貨車換算で最大43両の積載が可能です。このような新しい設計により、当船は従来の舟よりもはるかに多くの車両を運ぶことができました。また、機械的な特徴として、スイス製のタービンを搭載し、船の動力を提供する役割を果たしました。

運航の歴史

第一青函丸の運航は、当初は隔日での運航ダイヤによる1日1往復に留まりましたが、後に第二青函丸の就航に伴い、運航数が増加しました。1934年には需給の回復とともに、ダイヤが再整備され、さらなる運航回数の増加が見込まれました。しかし、運航の際に発生する混雑や過剰な運航回数によって、問題が生じることもありました。

四国航路への転用計画

1937年頃、青函航路の輸送量の増加に伴い、新たな航路の開設が望まれました。小松島と和歌山・大阪北港を結ぶ構想も浮上しましたが、第一青函丸や第二青函丸の転用計画は実現することなく、最終的には1945年の沈没まで青函航路の貨車輸送に従事し続けました。

沈没の経緯

第一次世界大戦の影響を受け、最終的に1945年7月15日、青函航路を航行中の第一青函丸は敵機による空襲を受け、沈没することとなります。しかし、その際乗員76名は全員無事に脱出できました。このように、第一青函丸はその建造から運航、そして運命に至るまで、鉄道における輸送の歴史に深く刻まれた船でありました。

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