第三の新人

第三の新人とは

第三の新人とは、1950年代前半に文壇に登場した新しい世代の小説家たちを指す言葉です。評論家の山本健吉が雑誌「文學界」に発表した評論「第三の新人」に端を発し、安岡章太郎、吉行淳之介、遠藤周作らが代表的な作家として知られています。

登場の背景

第二次世界大戦後、日本の文学界には戦後派と呼ばれる作家たちが登場しました。彼らは戦争体験や社会の混乱を背景に、政治や思想、人間の存在意義といったテーマを追求しました。しかし、第三の新人と呼ばれる作家たちは、戦後派とは異なる視点から文学に取り組みました。

特徴

第三の新人たちの作品は、以下のような特徴を持つとされています。

私小説的な作風: 自己の体験や感情を率直に表現する私小説の系譜を受け継ぎ、身近な日常や個人的な感情を描く作品が多い。
日常における人間性の描写: 戦争や社会の大きな出来事ではなく、日常生活における人間の姿や感情に焦点を当てる。
非政治的、小さくまとまった傾向: 政治的な主張や社会的なメッセージを強く打ち出すことはなく、個人的な感情や人間関係を丁寧に描く。

これらの特徴から、第三の新人たちの作品は、戦後派の作家たちに比べて、より個人的で内向的な傾向が強いと評されることがあります。しかし、その一方で、日常の風景や人間の心の機微を繊細に描き出すことで、読者に共感と感動を与えてきました。

代表的な作家

第三の新人と呼ばれる作家は数多くいますが、特に以下の作家が代表的とされています。

安岡章太郎
吉行淳之介
遠藤周作
庄野潤三
小島信夫

これらの作家たちは、それぞれの個性的な作風で、日本の現代文学に大きな足跡を残しました。遠藤周作のように、キリスト教というテーマを追求した作家もいますが、全体としては、日常における人間性を深く掘り下げた作品が多いと言えるでしょう。

評価と影響

第三の新人たちは、当初、戦後派の作家たちに比べて地味な存在と見なされることもありました。しかし、彼らの作品は、次第に読者からの支持を集め、文学界でも高く評価されるようになりました。彼らの作品は、その後の日本の文学に大きな影響を与え、現代の作家たちにも受け継がれています。

まとめ

第三の新人とは、戦後文学の一つの潮流を指す言葉であり、安岡章太郎、吉行淳之介、遠藤周作らが代表的な作家として知られています。彼らの作品は、私小説的な作風や日常における人間性の描写を重視した点が特徴であり、日本の現代文学に大きな足跡を残しました。

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