第九管区海上保安本部

第九管区海上保安本部について

第九管区海上保安本部（以下、九管）は、新潟県新潟市に本部を置く海上保安庁の管区海上保安本部の一つです。その管轄区域は、東北地方南部から北陸地方にかけての日本海沿岸、そして新潟県、富山県、石川県、長野県の内陸県を含みます。

九管の役割と特徴

九管は、日本海における広大な海域の安全を守る重要な役割を担っています。特に、北朝鮮との国境海域に面しているため、工作船対策をはじめとする治安維持活動が不可欠です。そのため、最新鋭の巡視船が配備され、常に警戒態勢を維持しています。過去には、北朝鮮工作員による拉致事件や不審船事件も発生しており、その最前線としての役割は非常に重要です。

近年では、韓国の不法漁業による被害や、大和堆周辺での北朝鮮漁船の違法操業に対する監視も重要な任務となっています。また、管轄区域内には志賀原子力発電所や柏崎刈羽原子力発電所といった重要施設が存在するため、これらの周辺海域の警備も行っています。

歴史

九管の歴史は、海上保安庁の発足とともに始まりました。以下に主な沿革をまとめます。

1948年：海上保安庁法公布、海上保安庁設立。新潟海上保安本部と伏木海上保安署が設置。
1950年：第九管区海上保安本部に改組。新潟、伏木、七尾の各海上保安部と、夷警備救難署（後の両津海上保安署）を設置。
1951年：両津警備救難署、福浦警備救難署の設置。
1954年：新潟航空基地を開設。
1955年：両津警備救難署を両津海上保安署、福浦警備救難署を福浦海上保安署に改組。
1964年：直江津海上保安署を開設。
1971年：金沢分室を金沢海上保安署に改組。
1984年：北朝鮮警備艇による銃撃・拿捕事件発生。
1990年：ヘリコプター搭載型巡視船「えちご」就役。
1997年：ナホトカ号重油流出事故発生、回収作業に従事。
1999年：能登半島沖不審船事件発生。
2003年：対工作船用高速特殊警備船「のりくら」就役。
2004年：小木分室を小木海上保安署に改組。
2005年：両津海上保安署を佐渡海上保安署、直江津海上保安署を上越海上保安署に改組。
2006年：小木海上保安署を能登海上保安署に改組、対工作船用巡視船「はくさん」と「ひだ」が就役。
2012年：本部庁舎を新潟市美咲町に移転。
2024年：能登半島地震で能登海上保安署が被災、七尾海上保安部に一時移転。

組織

九管は以下の組織で構成されています。

新潟海上保安部（新潟県新潟市）
佐渡海上保安署（新潟県佐渡市）
上越海上保安署（新潟県上越市）
伏木海上保安部（富山県高岡市）
富山分室（富山県富山市）
金沢海上保安部（石川県金沢市）
七尾海上保安部（石川県七尾市）
能登海上保安署（石川県鳳珠郡能登町）：能登半島地震の影響で一時移転し、現在は仮事務所で業務再開
新潟航空基地（新潟県新潟市）

保有船艇・航空機

九管は、以下の巡視船艇と航空機を保有しています。

巡視船艇

PLH08「えちご」（ヘリコプター搭載型巡視船）
PL51「ひだ」（ヘリ甲板付高速高機能大型巡視船）
PL76「さど」（1000トン型巡視船）
CL112「ゆきつばき」（20m型巡視艇）
CL149「こしかぜ」（20m型巡視艇）
CL139「ときくさ」（20m型巡視艇）
PC44「たつぎり」（23m型巡視艇）
PL04「やひこ」（1000トン型巡視船）
PS203「のりくら」（高速特殊警備船）
CL68「たちかぜ」（20m型巡視艇）
PL75「のと」（1000トン型巡視船）
PL43「はくさん」（高速高機能大型巡視船）
PC104「かがゆき」（30m型巡視艇）
CL150「わしかぜ」（20m型巡視艇）
PC126「はまゆき」（30m型巡視艇）
CL101「おぎかぜ」（20m型巡視艇）

航空機

MH916「みさご」（回転翼機：S-76D）
MA863「とき1号」（固定翼機：ビーチ350）
MA864「とき2号」（固定翼機：ビーチ350）
MH967「らいちょう1号」（回転翼機：AW139）
MH970「らいちょう2号」（回転翼機：AW139）
MH978「らいちょう3号」（回転翼機：AW139）

まとめ

第九管区海上保安本部は、日本海の安全を守る上で非常に重要な役割を担っています。北朝鮮との国境海域における警戒、不法漁業対策、原子力発電所周辺の警備など、多岐にわたる任務を遂行しています。最新鋭の装備と高い専門性を持つ職員によって、日々、海上の安全確保に尽力しています。

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