第二〇一海軍航空隊

第二〇一海軍航空隊：激戦を生き抜いた戦闘機部隊

第二〇一海軍航空隊は、太平洋戦争中に日本海軍に所属した戦闘機部隊です。部隊識別章は「WI」。その活動は、護衛、迎撃、戦闘、特攻、そして陸戦と多岐にわたりました。南洋諸島から始まり、激戦地を転々としながら、終戦まで戦い抜いた部隊です。

南洋諸島での活動

1939年10月1日、千歳海軍航空隊に付属する護衛戦闘機隊としてその歴史は始まりました。千歳空は、当初、陸上攻撃機部隊として編制されましたが、真珠湾攻撃後にアメリカ艦隊を迎撃する重要な役割を担うことになります。戦闘機隊は、長らく陸攻隊に付随し、マーシャル諸島やギルバート諸島の防空を担っていました。

1942年12月1日、千歳海軍航空隊から戦闘機隊が独立し、第二〇一海軍航空隊が正式に発足しました。当初、定数60機に対し45機体制で、第十一航空艦隊第二十四航空戦隊に所属しました。クェゼリン環礁のルオット島、ウェーク島、マロエラップ環礁のタロアに展開し、マーシャル諸島の防空を継続しました。旧式の九六式艦上戦闘機での防戦を強いられながらも、1942年12月23日にはウェーク島に襲来したB-24爆撃機2機を撃墜する戦果を上げています。

1943年2月には、タロア隊がナウル島に進出しました。しかし、3月には二五二海軍航空隊が後任として到着し、二〇一空は内地へ帰還することになります。二五二空が零式艦上戦闘機を装備していたのに対し、旧式の九六式艦上戦闘機で戦っていた二〇一空は、第一線を退くこととなったのです。

ラバウル戦線での激闘

内地に帰還した二〇一空は、再編作業を経て、1943年7月1日、ラバウルへの急速進出を命じられます。ソロモン諸島の戦況が悪化したことを受け、第十一航空艦隊第二十一航空戦隊に編入されました。ラバウル、ブインに進出し、レンドバ島方面への輸送船団護衛やムンダでの空中戦に参加します。1943年9月にはコロンバンガラ島からの撤退作戦を支援し、10月にはラバウル初空襲の迎撃戦に参加しました。その後も、ブカへの進出、ろ号作戦への参加、敵輸送船団への攻撃など、激戦が続きました。

1944年1月には、稼働機が30機強にまで減少。ラバウルの防衛が困難になったことから、内南洋防空のためトラック諸島とサイパン島への撤退が決定しました。

トラック、サイパンでの苦戦

1944年1月、二〇一空はトラック環礁を経てサイパン島に撤退。トラック・マリアナ諸島の防空を担うことになります。トラック島空襲やマリアナ諸島空襲では、派遣隊や留守部隊が全機を失うなど、苦戦を強いられました。1944年3月には、中部太平洋方面艦隊及び第十四航空艦隊に編入されました。定数96機への大増強が図られましたが、3月29日のパラオ大空襲で残存部隊が壊滅するという悲運に見舞われました。しかし、ペリリューを留守にしていたダバオ派遣要員と木更津派遣要員の手によって、再建が図られることになります。

フィリピン戦線と特攻作戦

1944年5月5日、二〇一空は第一[[航空艦隊]]に転籍。同年6月の「あ号作戦」には練成途上のため不参加となりました。7月には、他の航空隊を編入し、戦力を増強。セブ島やダバオ、ラサンに展開しました。

1944年9月12日、セブ飛行場が米機動部隊艦載機隊の奇襲を受け、機体をほぼ全滅させるという大きな損害を受けました。その後、フィリピンに接近する敵機動部隊に対し爆装戦闘機で攻撃を行いましたが、戦果は上がりませんでした。

10月11日には台湾沖航空戦を支援。10月15日には有馬正文第二十六航空戦隊司令官先導攻撃に参加。有馬司令官機は突入自爆しました。

10月19日、マバラカット飛行場にて、大西瀧治郎中将が特攻隊編成を提案。玉井浅一副長らが協議の結果、特攻作戦を決意し、「神風特別攻撃隊」が編成されました。10月25日には、敷島隊、朝日隊、山桜隊、菊水隊、若桜隊、大和隊の計13機が突入し、護衛空母セント・ローを撃沈。その後も、初桜隊、葉桜隊、梅花隊、左近隊が特攻作戦に参加しました。

部隊の終焉

11月中には、一航艦、二航艦の航空隊は続々と機体が払底し、特攻作戦すら困難な状況に陥りました。1945年1月9日、一航艦は台湾への撤退が命じられ、二〇一空の要員も一部が台湾へ撤退しました。しかし、多くの要員はフィリピンに取り残され、陸軍戦車第二師団指揮下で地上戦に借り出されました。

二〇一空は帳簿上は台湾へ撤退しましたが、搭乗すべき戦闘機は残されていませんでした。二〇五空への選抜から漏れた二〇一空の要員は、機体調達が叶うまで陸戦訓練に明け暮れ、機体を保有することなく終戦を迎えることになったのです。

主力機種

九六式艦上戦闘機：マーシャル諸島時代に運用。
零式艦上戦闘機：内地帰還以後の主力機。

歴代司令

山中龍太郎（1942年12月1日 - ）
中野忠二郎（1943年4月1日 - ）
山本栄（1943年10月 - ）
玉井浅一（1944年10月19日 - ）- 山本の負傷入院により代行。
* 西岡貫一（1945年3月1日 - 終戦後解隊）

第二〇一海軍航空隊は、太平洋戦争の激戦地を転戦し、数々の苦難を乗り越えながら戦い抜いた部隊です。その歴史は、戦争の悲惨さと、そこで生きた人々の勇気を今に伝えています。

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