第二次モロッコ事件

第二次モロッコ事件

第二次モロッコ事件、別名アガディール事件は、1911年にドイツが南西モロッコのアガディール港に砲艦を派遣したことから発生した国際的な紛争である。この事件は独仏間の緊張を再燃させ、英仏の連携を強化する結果となった。

背景

20世紀初頭のモロッコは、反乱が頻繁に発生し、政局は不安定であった。1902年8月、アブー・ルマラがスルタンと名乗ると、これに対抗する動きが始まる。1907年にはフランスが鎮圧のために出兵し、実質的にその影響力を高めていた。1908年に入ると、スルタンの廃位を求める民衆運動が起こり、これに呼応する形で、フランスはモロッコにおける支配を強化していった。

一方、第一次モロッコ事件の後、独仏間の緊張は表面上は解消されたものの、ドイツの影響を狙った動きは依然続いていた。1909年には両国間でモロッコに関する協定が締結され、ドイツは経済活動のみに制限される形でフランスに政治的優位を認めたが、その野心は消えていなかった。

発生と経過

1911年、ベルベル人が大規模な反乱を起こし、フランスは再び出兵することとなる。これに対し、ドイツは自国在住の国民を守る名目でアガディールに砲艦パンターを派遣したが、実際には彼らの住民はほとんど存在しなかった。そのため、ドイツは近隣の国から自国民を呼び寄せてこの行動を正当化した。

この軍艦派遣を受けて、フランスはイギリスに対して共同で軍艦を派遣するように要求した。これに伴い、英仏関係は急速に緊張し、ドイツ側も強硬姿勢を見せた。ベルリン証券取引所ではパニックが巻き起こり、事態は全面衝突が迫るかのように見えた。

妥結

イギリスはフランスを積極的に支持し、7月18日に軍事協定が結ばれる。その後、交渉が粛々と進められた結果、10月11日にモロッコ協定、11月3日にコンゴ協定がそれぞれ締結される。ドイツはモロッコに対する要求を撤回し、その見返りにフランス領コンゴの一部を得ることで、今回の危機は収束した。

1912年には、フランスとスルタンの間でフェス条約が締結され、モロッコはフランスの保護下に置かれることとなる。地域によってはスペインの保護領となる部分もあり、特にタンジール周辺は国際管理地域とされた。この事件によって、独仏間には深い亀裂が生まれ、結果的に英仏関係は強化された。モロッコ内部でも外部勢力に対抗する反発が生まれ、フランスとスペインの軍と血を流す争いが続くこととなった。

おわりに

第二次モロッコ事件は、第一次世界大戦の前兆ともいえる重要な出来事であった。国際関係の緊張が高まる中で、列強の思惑が交錯し、モロッコの運命が大きく変わることとなった。

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