第八十五国立銀行

第八十五国立銀行の歴史とその重要性

第八十五国立銀行は、明治期に埼玉県入間郡川越町（現・川越市）に設立された、埼玉県初の銀行です。この銀行は、県内唯一の国立銀行として、地域の経済発展に大きく寄与しました。現在の埼玉りそな銀行の前身でもあります。

設立の背景

1872年に明治政府は、近代産業の育成に必要な銀行制度を整えるため、国立銀行条例を制訂しました。1873年、川越の豪商たちは著名な実業家、渋沢栄一に銀行設立を依頼し、設立への準備が進められました。1876年、国立銀行条例が改正され、全国で国立銀行設立の機運がさらに高まります。

1878年の3月、川越の商人たちが大蔵卿の大隈重信に対し、国立銀行設立を申請し、5月には正式に設立の特許を受けました。大蔵省は資本金の過半を出資し、同年10月に会社として設立が承認されました。12月には川越町において、実際に運営が開始されました。

開業とその後の展開

第八十五国立銀行は、設立後すぐに「第八十五国立銀行」と名付けられ、一円紙幣や五円紙幣を発行しました。この銀行は、すぐに一般貸付を開始し、翌年の決算では約13,000円の利益を上げるなど、その業績は順調でした。この時期、銀行業務は国の発展に寄与し、地域経済に重要な役割を果たしました。

1882年、銀行にとって重大な変化が訪れます。この年に日本銀行条例が導入され、国立銀行の営業期間が免許から20年間に制限されることが決定されました。第八十五国立銀行は1898年に私立銀行として再編され、以降は地域の銀行を次々と吸収しながら、その規模を拡大していきました。

戦時下の変動

1943年、戦時政策に基づき、武州銀行や飯能銀行などと合併し、埼玉銀行に変わりました。この合併により、埼玉県における一律の金融機関が形成され、地域経済の安定に寄与しました。

建物と文化的意義

第八十五国立銀行の本店は、貴重な歴史的建築物として川越の地域文化において重要な位置を占めています。建物は1918年に再建され、その後も利用され続けていますが、2020年に新たに川越支店が移転し、2024年にはリニューアルされた複合施設「りそなコエドテラス」として再び開業する予定です。この建物は国の登録有形文化財にも指定されています。

結論

第八十五国立銀行は、地域経済の発展を支えた重要な金融機関であり、その歴史は川越の発展と密接に関連しています。今日でもその精神は埼玉りそな銀行に受け継がれており、地域の金融活動において重要な役割を果たしています。

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