第百七十三号哨戒特務艇

第百七十三号哨戒特務艇について

第百七十三号哨戒特務艇は、日本海軍が運用していた特務艇であり、第一号型哨戒特務艇として73番目の艦艇です。この艦艇は、1944年に計画されたものの、その運命は非常に短いものでした。竣工からわずか三日後に沈没したため、その歴史は多くの艦艇と比べて悲劇的なものとなっています。

艦艇の概要と歴史

本艦は、マル戦計画によって設計された第2121号艦型に基づく艦艇で、1944年11月5日にその名が付けられました。初めは仮称艦名第2293号艦として計画され、その後「第百七十三号哨戒特務艇」と定められ、佐世保鎮守府を本籍地とすることが決まりました。

1945年1月29日、船体が完成し、徳島合同造船株式会社から呉海軍工廠へ引き渡されました。そして3月26日に正式に竣工しました。この時点で正式に佐世保鎮守府に本籍を置き、連合艦隊第二十二戦隊第一監視艇隊に配属されました。

沈没とその後

艦艇の運命は、就役から数日後の3月29日、若松港で発生した触雷によって変わります。この事故により艦艇は沈没し、5月18日に浮揚された後、林兼重工業の彦島造船所の岸壁で繋留されました。しかし、艦艇はその後も厳しい運命を迎えることになります。

1947年2月1日には行動不能艦艇として登録され、さらに11月22日には米軍から日本政府に対し解体の指令が出されました。このように、本艦は初めの竣工から解体に至るまで、非常に短い運命を歩んだ艦艇でした。

脚注と参考文献

第百七十三号哨戒特務艇についての詳細な情報は、海軍省や復員庁が発行した内令や達、または戦史叢書などの資料によって確認できます。特に、昭和19年11月5日付の達第363号や、昭和20年3月26日付の内令第264号ノ2、ノ3は重要な公式記録です。また、戦後の解体に関する記録については、在東京アメリカ極東海軍司令部からの文書が参照されています。その他の参考文献には、坂本正器や福川秀樹の『日本海軍編制事典』、海人社の『日本海軍護衛艦艇史』、そして防衛研修所戦史室による『海軍軍戦備(2) -開戦以後-』などがあります。

このように、第百七十三号哨戒特務艇は、日本海軍の哨戒特務艇の一つとして名を残しましたが、その短い生涯は多くの海軍艦艇の中でも特異な存在と言えるでしょう。

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