第百七十六号哨戒特務艇

第百七十六号哨戒特務艇の概要

第百七十六号哨戒特務艇（だいひゃくななじゅうろくごうしょうかいとくむてい）は、日本海軍の未成特務艇であり、第一号型哨戒特務艇の70番船です。日本の海軍艦艇の歴史の中で、特に太平洋戦争後の動向が注目されていますが、その探求にはいくつかの重要な出来事があります。

艇歴の始まり

この哨戒特務艇は、マル戦計画に基づく特務艇であり、艦型は第2121号艦です。計画されていた仮称艦名は第2296号艦でしたが、1945年5月5日に正式に第百七十六号哨戒特務艇と命名され、第一号型哨戒特務艇の70番艇としての地位を確立しました。艇は佐世保鎮守府に本籍が置かれることとなり、その後の進捗が注目されました。

1945年5月31日には、船体が概ね完成し、徳島合同造船株式会社から呉海軍工廠に引き渡されました。しかし、終戦を迎えた時点では、艦艇は呉で兵装や艤装の最中でした。1945年8月17日には、工事の中止が決定され、計画は不確実なものとなりました。最終的には、第二復員省の掃海艦として再出発する運命を辿ります。

その後の展開

1945年12月1日、第二復員省が開庁した際に、本艇は佐世保地方復員局の下に置かれる掃海艦として位置づけられることになりました。この日付から艦名が「哨特第百七十六号」に変更されました。

1946年4月18日には、下関市の吉見沖で掃海作業中に悪天候に見舞われ、擱坐しました。残念ながら、同地では別の艦艇である哨特第百三十七号も事故にあい、放棄される事態に至りました。その後、艦艇は林兼重工業の彦島造船所に移送されましたが、部品取りとしての使用に留まり、航行を再開することはありませんでした。

1946年5月10日には、所属艦が佐世保支部から外れ、呉地方復員局掃海部下関支部への所属が決定しました。さらに、1946年6月15日には復員庁の開庁により、下関掃海部に改められました。

解体の命令

その後の1946年8月20日には、哨特第百七十六号は下関掃海部から削除され、掃海艦としての役割を解かれました。1947年に入ると、2月1日に行動不能艦艇に指定され、11月22日にはアメリカ極東海軍司令部から本艇の解体を指示されます。この一連の経緯が、最後まで艦艇が海上で任務を果たせなかったことを物語っています。

参考資料

この艇に関する詳細な資料や情報は、海軍省や第二復員省、復員庁からの文書、さらに当時の軍行動に関する詳細な文献などから得られます。これらの歴史的情報は、日本海軍の艦艇史を理解するための貴重な資料となっています。特に、昭和20年から昭和22年にかけての動きは、戦後の海上自衛隊の形成に影響を与える重要な時期でもありました。

このように、第百七十六号哨戒特務艇は、日本海軍の歴史において特異な位置を占めており、その行動不能状態から解体に至るまでの過程は、艦艇の命運を語るものです。

もう一度検索