第1バチカン公会議

第1バチカン公会議について

第1バチカン公会議（Concilium Vaticanum Primum）は、1869年12月から1870年10月にかけて、ローマ・バチカンのサン・ピエトロ大聖堂で行われました。この公会議は、カトリック教会の歴史における重要なイベントであり、20回目の公会議として位置づけられています。

開催の背景

この公会議は、1868年6月29日に教皇ピウス9世によって発表された大勅書「エテルニ・パトリス」により召集されました。トリエント公会議以来、約300年の時を経ての開催であり、教会内外から多くの期待が寄せられました。結果として、約800名の参加者がヨーロッパ各地から集まりました。

討議されたテーマ

公会議では、教会論をはじめとした多様なテーマが取り上げられる予定でしたが、時間に制約があったため、最終的には教皇の首位性や不可謬性、また近代思想における誤りを排斥する問題に焦点が当たりました。

憲章の採決

この期間中に、2つの重要な憲章が採決されました。「デイ・フィリウス」（Dei Filius）は1870年4月24日に、第4総会である「パストル・エテルヌス」（Pastor Aeternus）は1870年7月18日に採決されました。「パストル・エテルヌス」は、教皇首位説および教皇不可謬説に関する教義の憲章であり、賛成533票、反対2票という圧倒的な賛成で承認されました。反対票を投じた2名も宣言を受け入れ、投票を拒否した61名も最終的には公会議の決定に従う意向を示しました。

公会議の中断

しかし、1870年10月に普仏戦争が勃発したため、公会議は予想以上に早く一旦閉会することとなりました。そのため、予定されていた議題をほとんど扱えないままの無期延期となり、正式な閉会宣言が行われないまま、会議は事実上終了しました。この結果、教皇至上主義の強化が図られたという解釈がなされています。

ドイツの反対派

特に注目すべきは、教皇不可謬説に反対し続けていたドイツの神学者であるヨハン・イグナツ・フォン・デリンガーです。彼は1871年に破門され、カトリック教会を離れました。その後、同様に教皇不可謬を否定していた他の地域の信徒とともに復古カトリック教会を設立しました。

結論とその後

中途半端に終わったこの公会議で扱われなかった問題は、90年後に開催される第2バチカン公会議へと引き継がれました。第1バチカン公会議の決定は、カトリック教会の教義の根幹に影響を与え、その後の教会の方向性を形作る基盤となりました。

この歴史的な公会議は、カトリック教会の内部での思想的な対立や進展に大きな影響を及ぼし、現在まで続く教理や制度の発展に寄与しました。

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