第1世代移動通信システム

第1世代移動通信システム（1G）とは

第1世代移動通信システム（1G）は、1980年代に導入された最初のアナログ方式の携帯電話システムです。このシステムは、音声通信にアナログ信号を使用していたため、音質やセキュリティ面で課題がありました。しかし、当時としては画期的な技術であり、携帯電話の普及に大きく貢献しました。

概要

1Gは、アナログ無線通信技術を使用しており、その主な特徴は以下の通りです。

アナログ通信: 音声信号をそのまま無線電波で送受信するため、音質が変動しやすく、盗聴のリスクもありました。
周波数帯: 各国で異なる周波数帯が使用されました。日本では800MHz帯が用いられました。
通信方式: FDD-FDMA-FM方式が一般的でした。

1Gは、その後登場したデジタル方式の第2世代移動通信システム（2G）に置き換えられました。2Gでは、音声信号をデジタルデータに変換して送受信するため、音質が向上し、セキュリティも強化されました。1Gと2Gの最大の違いは、使用される無線信号がアナログかデジタルかという点にあります。

各国での展開

日本: NTT大容量方式やTACSが採用されました。当初はNTTがサービスを提供し、その後、IDOやDDIセルラーが参入しました。
アメリカ: AMPSが使用されました。
ヨーロッパ: NMTが採用されました。

日本における1Gの歴史

日本では、1979年に日本電信電話公社（後のNTT）が自動車電話サービスを開始したのが始まりです。当初はNTT大容量方式（アナログムーバ）が採用され、800MHz帯が使用されました。

その後、1985年に日本移動通信（IDO）と第二電電（DDI）が新規参入し、競争が始まりました。IDOは東名地区、DDIはそれ以外の地域でサービスを提供しました。IDOはNTT大容量方式（HICAP）、DDIセルラーはTACSを採用しました。

当初、IDOとDDIセルラーはそれぞれ異なる方式を採用していたため、全国での相互利用ができませんでした。後にIDOもTACSを採用し、DDIセルラーの顧客も全国で利用できるようになりました。しかし、この方式の違いが、後の2G（PDC）導入時に、IDOとDDIセルラーのローミングに影響を与えることになりました。

1999年3月にNTT大容量方式が、2000年9月にはTACS方式が終了し、日本では1Gのサービスは完全に終了しました。これにより、携帯電話サービスはデジタル方式の2G以降に一本化されました。

1Gの終焉とその後

1Gは、技術の進歩とユーザーニーズの変化に伴い、2G、3G、そして現在の4G/5Gへと進化を遂げてきました。1Gは、携帯電話の歴史における重要な一歩であり、現代のモバイル通信技術の基礎を築きました。

2000年代以降、多くの国で1Gのサービスは終了しましたが、一部の地域ではまだ利用されていた場所もあったようです。しかし、現在では1Gの技術は過去のものとなり、最新の技術が主流となっています。

関連事項

移動体通信: 1Gから最新の5Gまでの移動通信システムの比較。
携帯機器: 1G携帯電話からスマートフォンまでの進化。

1Gは、携帯電話の黎明期を支えた重要な技術であり、その歴史を知ることは、現代のモバイル通信技術を理解する上で非常に有益です。

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