第1次ジョンソン内閣

第1次ジョンソン内閣：激動の150日

2019年7月24日、テリーザ・メイ前首相の後任としてボリス・ジョンソンが首相に就任し、第1次ジョンソン内閣が発足しました。メイ首相はEU離脱協定案の議会承認に失敗、国民の支持も失墜し、辞任に追い込まれたことが発足の背景にあります。ジョンソン首相は保守党党首選を制し、エリザベス女王から首相に任命されました。

衝撃的な内閣改造

組閣にあたり、ジョンソン首相は11人の閣僚を解任、6人の辞任を受け入れました。これは「夏の日の虐殺」と評されるほどの大規模なもので、英国政治史において、与野党交代ではない新内閣発足としては過去最大規模の内閣改造となりました。この大胆な人事に、ジョンソン首相の強いリーダーシップと、従来の政治体制からの決別を示す意思が読み取れます。

新内閣は、「現代のイギリスのための内閣」と説明されました。多様な人材を登用した一方で、イデオロギー的には統一された思想に基づいていると評されました。ドミニク・ラーブが外務大臣、サジド・ジャヴィドが財務大臣、プリティ・パテルが内務大臣に就任するなど、注目の人事がありました。内閣規模はメイ政権より縮小され、女性閣僚の比率は低いものの、マイノリティ出身閣僚の割合は増加しました。これは、英国社会の多様性を反映しようとする姿勢を示していると言えるでしょう。また、ジョンソン首相は自ら「連合大臣」という新たなポストを創設しました。これは、彼の公約であったイギリス統一への強い意志の表れです。

ワーキング・マジョリティの喪失

内閣発足当初、ジョンソン首相は安定多数を確保していました。しかし、2019年9月3日、フィリップ・リー議員が保守党を離党し、自由民主党に移籍したことで、政府は安定多数を失いました。さらに、EU離脱問題をめぐる政府への反発から、21人の保守党議員が政府に反対票を投じ、追放処分を受ける事態となりました。この出来事は、ジョンソン首相の求心力の低下を示すものとなりました。

家族の葛藤と離党

同年9月5日には、ジョンソン首相の弟であるジョー・ジョンソン議員が、家族の忠誠と国民の利益の板挟みになり、議員と閣僚の職を辞任しました。9月7日には、平等担当大臣のアンバー・ラッドも辞職し、保守党を離党しました。これらの出来事は、ジョンソン政権の内部分裂を示し、政権運営への不安を招きました。

総選挙と第2次内閣への移行

第1次ジョンソン内閣は、こうした様々な出来事や困難を経て、2019年12月に行われた総選挙を迎えました。この総選挙でジョンソン首相率いる保守党が圧勝したことで、第1次ジョンソン内閣は幕を閉じ、3日後に第2次ジョンソン内閣が発足することとなりました。第1次ジョンソン内閣は、わずか150日間の短い期間でしたが、その間に多くの出来事が起こり、現代イギリス史において重要な位置を占める内閣となりました。

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