第1空母航空団 (アメリカ海軍)

第1空母航空団（CVW-1）について

第1空母航空団（だい1くうぼこうくうだん、英: Carrier Air Wing One、略称：CVW-1）は、アメリカ海軍に所属する航空部隊の一つです。大西洋艦隊隷下の海軍航空軍に編成されており、その地上基地はバージニア州にあるオシアナ海軍航空基地に置かれています。この航空団は、特定の航空母艦に搭載されて活動することを前提としており、2021年時点では原子力空母「ハリー・S・トルーマン」にその航空戦力の中核として搭載されています。

概要

CVW-1は、アメリカ海軍の展開する空母打撃群において、主要な攻撃および防御の戦力として極めて重要な役割を担っています。本航空団は、単一の機種ではなく、様々な任務に対応できる航空機で構成される混成航空部隊であることが特徴です。これには、敵の航空機や地上目標、艦船などを攻撃する戦闘攻撃機、敵のレーダーや通信システムを無力化する電子戦機、そして広範囲の空中および海上状況を監視し、早期警戒を行う早期警戒機などが含まれます。これらの多様な航空機とそれに搭乗する専門的な搭乗員、そして支援要員によって、CVW-1は複雑な現代戦の様々な局面に対応する能力を備えています。識別のため、本航空団に所属する航空機にはテールコード「AB」が付与されます。

歴史

第1空母航空団は、その歴史においてアメリカ海軍の空母航空団の中でも最も古い部隊の一つであり、1938年に創設されました。設立当初から航空母艦に搭載されることを前提としており、初期の航空母艦である「レンジャー」などと共に運用されました。第二次世界大戦の勃発と拡大に伴い、CVW-1は極めて重要な役割を果たすことになります。ヨーロッパ戦線と太平洋戦線という主要な両戦域に投入され、枢軸国に対する作戦において航空戦力を提供しました。

戦後も、アメリカ海軍の最前線部隊として活動を続け、主要な紛争に関与してきました。ベトナム戦争においては、まず1966年から1967年にかけて航空母艦「フランクリン・D・ルーズベルト」に搭載され、作戦に参加しました。さらに、1975年にも航空母艦「ジョン・F・ケネディ」と共に再びベトナムにおける作戦展開に関与しています。

その後も、CVW-1は重要な作戦に参加し続けました。湾岸戦争時には、航空母艦「アメリカ」に搭載されてペルシャ湾に展開し、多国籍軍による砂漠の嵐作戦などに航空戦力を提供しました。2003年以降は、長らく原子力空母「エンタープライズ」の航空団として活動し、世界の様々な海域で任務を遂行しました。そして、2021年時点では、原子力空母「ハリー・S・トルーマン」に搭載されており、今後もアメリカ海軍の主力航空部隊としてその歴史を刻んでいくことになります。長年にわたり、搭載する空母は変化しても、CVW-1は一貫して高い即応性と戦闘能力を維持し、アメリカの国益を守るための主要な戦力として機能しています。

部隊構成

前述のように、第1空母航空団は、多岐にわたる任務を遂行するために、様々な種類の航空機を運用する飛行隊によって構成されています。具体的な構成飛行隊は時期や搭載される空母、遂行する任務によって変動する可能性がありますが、一般的には複数の戦闘攻撃飛行隊、電子戦飛行隊、早期警戒飛行隊、そしてヘリコプター飛行隊などによって編成されます。これらの専門部隊が連携することで、空母打撃群は敵に対する攻撃、友軍の防護、情報収集など、幅広い航空作戦を効果的に実行することが可能となります。各飛行隊に配備される具体的な機種も、時代の変化や技術の進歩に伴って更新されていきます。

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