第10軍 (アメリカ軍)

第10軍の概要

第10軍（U.S. Tenth Army）は、かつて存在したアメリカ陸軍の部隊であり、第二次世界大戦の太平洋戦域において創設された最後の軍として位置づけられています。この部隊は「琉球派遣隊」とも呼ばれ、指揮系統上では「第56任務部隊」としても知られています。

歴史的背景

第10軍の創設は、1944年6月20日にテキサス州サム・ヒューストン基地で行われました。この時期、アメリカ軍は沖縄に向けた攻略計画の策定を進めていましたが、その最初の提案は、マリアナ・パラオ諸島の戦いの前後に遡ります。レイモンド・スプルーアンス海軍大将が沖縄攻略を進言したものの、当初は台湾を狙った「コーズウェイ作戦」が優先されていました。この作戦は、1945年春に実施予定でしたが、様々な都合から最終的には沖縄に焦点を当てる決定が下されることになります。

その後、第10軍の指揮を執ることになった初代司令官サイモン・B・バックナー・ジュニア中将は、沖縄戦の最末期である1945年6月18日に敵の砲撃により戦死。続いてロイ・ガイガー少将が一時的に指揮を受け持ち、6月23日にはジョセフ・スティルウェル大将が新たに指揮官となりました。沖縄戦は1945年3月末から始まり、7月2日に作戦が終了します。

編成と指揮系統

第10軍の主力部隊は、ジョン・リード・ホッジ陸軍少将が指揮する第24軍団と、ガイガー少将が指揮する第3海兵水陸両用部隊で構成されています。第24軍団には第7歩兵師団と第96歩兵師団が加わり、第3海兵水陸両用部隊は第1および第6海兵師団からなります。また、第10軍には後詰や特殊任務用の第27歩兵師団、第77歩兵師団、第2海兵師団も含まれています。総兵力は陸軍約102,000名、海兵隊約88,000名、支援部隊を含めると182,821名に達しました。

占領行政とその課題

沖縄攻略後、アメリカ軍は非戦闘員の住民の管理という新たな課題に直面しました。占領行政は欠かせないものであり、第10軍では戦闘部隊指揮官が行政官の職務も担う形で、進攻度に応じた行政区域の整備が推進されました。沖縄の占領は、ニミッツ元帥が関与し、バックナー中将がその実施を担当しました。

人的損害とその影響

沖縄戦の結果、第10軍は合計65,631名の戦死・負傷者を出しました。主な部隊の損害内訳としては、第24軍団34,736名、第3海兵水陸両用部隊26,724名、そして守備隊や航空部隊も含まれます。バックナー中将や他の高官がこの戦闘に命を落とし、多くの経験豊富な指揮官が戦死したことは、戦局に多大な影響を与えました。

まとめ

第10軍は、太平洋戦争の末期において重要な役割を担った部隊であり、その編成や指揮系統、占領行政に至るまで多面的な活動が展開されました。沖縄戦はアメリカ軍にとっても未経験の局面で、その教訓は今後の軍事戦略においても重要な位置を占めることでしょう。

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