第12族元素

第12族元素について

第12族元素は、周期表の中に位置する一群の金属元素であり、亜鉛族とも呼ばれます。この族には、亜鉛、カドミウム、水銀、およびコペルニシウムが含まれています。これらの元素は、保存される電子配置において最外殻がns²の形をとります。このため、イオン化する際に外れる電子は最外殻のs軌道にある2つの電子です。その内側には、完全に埋まったd軌道が存在しますが、これが遷移金属としての性質を持たない理由でもあります。したがって、全般的に第12族元素はDブロック元素に分類されながらも、典型的な金属としての性質を持っています。

分類の見直し

短周期表の時代には、第12族元素は遷移元素に組み込まれていましたが、IUPACの新しい定義によれば、これらの元素は閉殻のd軌道を持たないため、遷移元素には含まれません。この分類の変遷は、化学研究の進展によるものです。

特徴と性質

第12族元素は、一般に価電子が2つのs軌道電子および内部d軌道に満たされた構造を持ちます。具体的には、これらの元素は(f¹⁴)d¹⁰s²の電子配置をとるため、内殻と副殻が安定した形を維持しています。なお、特にコペルニシウムは不安定で、詳しい性質についてはまだほとんど解明されていません。

第12族元素は、アルカリ土類金属と類似した最外殻の電子配置を持ちますが、実際には共通点はあまりありません。例えば、電気陰性度においては周期が進むにつれて上昇しますが、アルカリ土類金属の場合は逆に下降します。また、第12族元素の原子価軌道の配置は、（n-1）d¹⁰軌道であっても、アルカリ土類金属のような希ガス配置とは異なる特徴を示しています。

このように満たされたd軌道は、対称性を持っているため外部からの影響を受けやすく、これが亜鉛族元素の特有の化学的性質を作り出しています。特に、亜鉛とカドミウムは、イオン半径が非常に近いため、鉱物内では同じ形で共存することがあります。そのため、亜鉛の製錬過程でカドミウムが副産物として得られることが多く、これらは蒸留操作などを利用して分離されます。

水銀は、他の2つの金属とは異なって常温においても液体です。加えて、亜鉛とカドミウムは卑金属として分類される一方で、水銀は水素よりも低いイオン化傾向を示し、貴金属扱いされることあります。貴金属は一般に高い電気陰性度を示すのですが、水銀の電気陰性度は銀に近い値であり、白金族元素には及ばないものの、特異な特徴を持っています。

さらに、水銀はアマルガムと呼ばれる、さまざまな金属と合金を容易に形成する能力でも知られています。ここで注目すべきは、第12族元素全体に共通する特性として、高い蒸気圧と揮発性が挙げられ、また、これらの酸化物はすべて両性酸化物であることが確認されています。

参考文献

• - 化学便覧 基礎編, 日本化学会編, 改訂5版, 丸善
• - R.B.ヘスロップ, K. ジョーンズ, 無機化学, 東京化学同人

関連項目

• - 周期律

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