第135師団 (日本軍)

第135師団

第135師団は、1945年（昭和20年）に大日本帝国陸軍によって編成された師団の一つです。太平洋戦争末期、戦局が厳しさを増す中で、満洲（現在の中国東北部）に配置された関東軍の戦力増強を目的として、急遽編成されました。

編成の背景

1945年に入ると、関東軍は南方戦線への兵力転用により、戦力が大幅に低下していました。この状況を打開するため、関東軍は満洲居留邦人や在郷軍人を「根こそぎ動員」し、さらに中国戦線から4個歩兵師団を呼び戻すことで、約74万人の兵員を確保しました。また、以前の関東軍特種演習で本土から輸送された戦車200両、航空機200機、火砲1000門も保有していました。

しかし、兵員の半数以上は訓練不足であり、日ソ中立条約を想定していなかった関東軍首脳部の混乱、さらに物資不足（特に砲弾は各砲門あたり約1200発程度しかなく、航空部隊のほとんどが実戦未経験者、小銃が行き渡らない兵士も10万人以上）のため、実質的な戦力は30万名程度だったとされています。

師団の編成

同年7月、「根こそぎ動員」によって第135師団は、第2国境守備隊（綏芬河）及び第4国境守備隊（虎頭）の主力、第46兵站警備隊、独立混成第77旅団を基幹として編成され、第5軍に編入されました。同時に、第134・第136・第137・第138・第139・第148・第149師団も編成されています。

戦闘と終戦

1945年8月9日、ソ連が対日参戦を開始すると、第135師団は虎林から東安方面に展開していました。第5軍司令部は、第135師団と第126師団に対し、掖河まで退却するよう命令しました。両師団は、第124師団がソ連軍と激しい戦闘を繰り広げる中、牡丹江の防備を強化し、ソ連軍の攻撃を防ぎつつ、牡丹江市街に在留していた邦人の脱出を支援しました。

8月15日、第135師団と第126師団は第5軍司令部からの命令を受け、8月17日には牡丹江北西の横道河子まで後退し、同地で停戦命令を受けました。

師団概要

歴代師団長

人見与一 予備役中将：1945年7月16日 - 終戦

参謀長

井上敬助 大佐：1945年7月26日 - 終戦

最終司令部構成

参謀長：井上敬助大佐

最終所属部隊

歩兵第368連隊（満洲）：飯塚文二大佐
歩兵第369連隊（満洲）：中山亮輔大佐
歩兵第370連隊（満洲）：多喜弘中佐
野砲兵第135連隊
工兵第135連隊
輜重兵第135連隊
第135師団挺進大隊
第135師団通信隊
第135師団兵器勤務隊
第135師団病馬廠

まとめ

第135師団は、大日本帝国陸軍が太平洋戦争末期に編成した師団の一つで、満洲に配置された関東軍の戦力増強を目的としていました。ソ連対日参戦時には、牡丹江方面で防衛と住民脱出支援を行い、終戦を迎えました。編成から終戦までの期間は短く、目立った戦闘記録も少ないですが、激動の時代を象徴する師団の一つと言えるでしょう。

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

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