第19師団 (日本軍)

第19師団

第19師団は、大日本帝国陸軍の師団の一つで、日露戦争後に獲得した朝鮮半島の警備を主な目的として創設されました。

創設と初期

1910年、日本は大韓帝国を併合しましたが、当初は在来師団を交代で派遣し警備を行っていました。その後、師団増設の必要性が認識されましたが、財政難のため実現には時間がかかりました。1915年12月24日、第19師団の編成が決定し、同時に第20師団も編成されました。両師団は朝鮮軍に所属することになりました。

兵員は主に日本の第1から第3、第14師管区で徴集され、大阪に集結後、身体検査を経て各部隊に入営しました。1916年4月には師団司令部が東京に設置され、その後、朝鮮の龍山に移転しました。編成は1918年から本格的に始まり、咸鏡北道羅南に司令部を置き、歩兵第73、74、75、76連隊を隷下に置きました。編成完了後は、主に朝鮮北部の警備を担当しました。

大陸戦線

1931年、満洲事変が発生すると、第19師団から抽出された兵力で編成された混成第38旅団が派遣され、第20師団の指揮下で長春やハルビンで戦闘を行いました。その後、満洲に駐屯しました。

1938年7月、張鼓峰事件に動員されましたが、当初は大本営の命令により帰還しました。しかし、ソ連軍が張鼓峰を占領したため、師団長である尾高亀蔵中将の独断でソ連軍と交戦しました。この戦闘で師団は多数の死傷者を出し、8月11日にモスクワで停戦交渉が合意に至りました。

太平洋戦線

その後も師団は朝鮮半島に駐留を続け、1941年7月に動員下令を受けましたが、すぐには戦地へは行かず羅南で訓練を行いました。1943年5月には、隷下の歩兵第74連隊が新設された第30師団に移りました。1944年12月からは第14方面軍隷下となり、フィリピンのルソン島に渡り、アメリカ軍と交戦しました。山岳地帯で持久戦を展開しましたが、終戦を迎えました。

歴代師団長

立花小一郎 中将：1916年4月1日 - 1918年7月24日
高島友武 中将：1918年7月24日 - 1921年7月20日
上田太郎 中将：1921年7月20日 - 1924年2月4日
竹上常三郎 中将：1924年2月4日 - 1926年7月28日
渡辺寿 中将：1926年7月28日 - 1929年8月1日
川島義之 中将：1929年8月1日 - 1930年11月7日
森寿 中将：1930年11月7日 - 1933年3月18日
牛島貞雄 中将：1933年3月18日 - 1935年3月15日
鈴木美通 中将：1935年3月15日 - 1937年3月1日
尾高亀蔵 中将：1937年3月1日 - 1938年11月9日
波田重一 中将：1938年11月11日 - 1940年9月28日
上月良夫 中将：1940年9月28日 - 1942年7月1日
尾崎義春 中将：1942年7月1日 - 復員

歴代参謀長

岡本功 騎兵大佐：1916年4月1日 - 1918年7月24日
白石通則 歩兵大佐：1918年7月24日 - 1920年5月12日
金沢末作 歩兵大佐：1920年5月12日 - 1923年4月20日（死去）
若山善太郎 工兵大佐：1923年4月21日 - 1923年10月15日
井上忠也 歩兵大佐：1923年10月15日 - 1927年7月26日
大家徳一郎 歩兵大佐：1927年7月26日 - 1929年8月1日
藤田進 歩兵大佐：1929年8月1日 - 1932年12月7日
中村音吉 歩兵大佐：1932年12月7日 - 1934年8月1日
柳下重治 歩兵大佐：1934年8月1日 - 1936年3月7日
井出鉄蔵 輜重兵大佐：1936年3月7日 - 1937年8月2日
中村美明 砲兵大佐：1937年8月2日 - 1938年10月15日
名倉栞 歩兵大佐：1938年10月15日 - 1940年12月2日
山田英男 中佐：1940年12月2日 - 1942年8月1日
福富伴蔵 大佐：1942年8月1日 - 1944年1月7日
品部孝晴 大佐：1944年1月7日 - 1944年11月22日
寺尾務 大佐：1944年11月22日 - 終戦

最終所属部隊

歩兵第73連隊（羅南）：田中実少将
歩兵第75連隊（会寧）：名越透大佐
歩兵第76連隊（羅南）：古見政八郎大佐
捜索第19連隊：秋山太郎中佐
山砲兵第25連隊：谷口暚之助大佐
工兵第19連隊：竹内忠中佐
輜重兵第19連隊：長谷川政男大佐
第19師団通信隊：市村信義少佐
第19師団第1野戦病院：曽田義雄軍医少佐
第19師団第4野戦病院：加藤正司軍医大尉
第19師団防疫給水部：永井啓軍医大尉
第19師団病馬廠

脚注

参考文献

陸軍省『陸軍省統計年報. 大正6年（第29回）』陸軍省、1926a。NDLJP:986787。
陸軍省『陸軍省統計年報. 大正6年（第29回）衛生之部』陸軍省、1926b。NDLJP:986788。
『兵役法関係法規. 昭和2年改正』、内閣印刷局、1928年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

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