第2回世界伝道国際会議

第2回世界伝道国際会議（マニラ会議）とは

1989年、フィリピンのマニラで開催された第2回世界伝道国際会議、通称マニラ会議は、世界中の福音派キリスト教指導者が一堂に会した重要な会議です。この会議は、1974年の第1回ローザンヌ世界伝道会議に続くものであり、ローザンヌ運動の一環として位置づけられます。

会議の概要

マニラ会議には、4000人を超える福音派の指導者が参加し、世界宣教の課題について議論を交わしました。会議の最大の成果は、マニラ宣言の採択です。この宣言は、ローザンヌ誓約の精神を受け継ぎつつ、現代の宣教における新たな課題に対応するものでした。

マニラ宣言

マニラ宣言は、福音主義キリスト教の信仰告白として、その後の福音派の宣教活動に大きな影響を与えました。宣言は、聖書の権威、イエス・キリストの救い、伝道の必要性などを強調し、信徒に福音宣教への積極的な参加を呼びかけました。また、社会正義や人権問題にも言及し、キリスト教信仰が個人の霊的な側面だけでなく、社会全体の変革にも関わることを示唆しました。

福音派と聖霊派の協力

マニラ会議の大きな特徴の一つは、福音派と聖霊派の協力が進められたことです。福音派の代表的な指導者であるJ・I・パッカーと、聖霊派の指導者であるジャック・ヘイフォードが、メインスピーカーとして登壇し、両派の協力の象徴となりました。この協力関係は、その後のキリスト教界における教派間の協力促進に貢献しました。

10/40の窓とユダヤ人伝道

会議では、キリスト教宣教学者のルイス・ブッシュが「抵抗する地帯」の概念を提唱し、福音伝道における新たな視点を提示しました。特に、北緯10度から40度の地域（いわゆる10/40の窓）に住む未伝道の人々への宣教の必要性が強調されました。この概念は、現代宣教において、ターゲットを絞った戦略的な宣教の重要性を認識させる上で、大きな影響を与えました。

さらに、ユダヤ人への伝道の使命も改めて確認され、ローザンヌ・ユダヤ人伝道協議会が発足しました。この協議会は、ユダヤ人への福音宣教を推進し、キリスト教徒とユダヤ人の間の相互理解を深めるための活動を行っています。

まとめ

マニラ会議は、福音派キリスト教の歴史において重要な転換点となりました。マニラ宣言の採択、福音派と聖霊派の協力、10/40の窓の提唱、ユダヤ人伝道協議会の発足など、会議で示された方向性は、現代のキリスト教宣教に大きな影響を与え続けています。この会議は、世界宣教の課題を再確認し、キリスト教徒が福音宣教に積極的に参加するよう促す上で、重要な役割を果たしました。



参考文献

『福音主義キリスト教と福音派』宇田進　いのちのことば社
『エルサレムの平和のために祈れ-続ユダヤ入門-』中川健一　ハーベスト・タイム・ミニストリーズ


関連項目

ローザンヌ世界伝道会議
ローザンヌ誓約

外部リンク

* Lausanne II: International Congress on World Evangelization（英語）

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