第2回20か国・地域首脳会合

第2回G20首脳会合（ロンドン・サミット）：世界同時不況と歴史的合意

2009年、世界はリーマン・ショック発祥の金融危機に揺れていました。この未曾有の危機に対処するため、主要20か国・地域（G20）の首脳らが集結した歴史的会合、それが第2回G20首脳会合、別名ロンドン・サミットです。開催地はイギリスの首都ロンドン。世界中から熱い視線が注がれる中、4月2日、エクセル・ロンドン会議場で会合は幕を開けました。

会合の目的と参加者

この会合の正式名称は「金融世界経済に関する首脳会合」。世界金融危機への対策を協議することが最大の目的でした。議長を務めたのは、当時イギリス首相だったゴードン・ブラウン氏。G20加盟国である先進7か国と新興経済国12か国、そして欧州委員会委員長などが出席しました。さらに、G20非加盟国であるオランダとスペインからも首脳が参加。国際通貨基金（IMF）、世界銀行グループ、世界貿易機関（WTO）といった国際機関の代表者も参加し、グローバルな連携による危機対応の重要性が示されました。

会合での議論と合意

会合では、世界経済の回復に向けた具体的な対策が議論されました。その結果、採択された声明には、以下の重要な合意が盛り込まれました。

巨額な財政刺激策:2010年末までに5兆ドル規模の財政刺激策を実施し、世界経済の成長率を4%に引き上げるという野心的な目標が設定されました。
自由貿易体制の堅持:世界経済の回復を阻害する可能性のある保護貿易主義には反対し、自由貿易体制を維持していくことが強調されました。
新興国・発展途上国への支援:IMFの融資枠を7500億ドルに拡大。世界銀行グループの資金基盤も強化し、合計1兆1000億ドルを新興国・発展途上国への支援に充てることが決定されました。これは、危機の影響を最も受けやすい国々への配慮を示すものです。

しかし、会合では波乱もありました。当初、首脳宣言には雇用の維持・創出に関する数値目標（2009年に1900万人、2010年に50万人）が明記されていましたが、ある首脳がその算出根拠を質問したところ、誰も明確に答えられず、数値目標は最終的に削除されました。このエピソードは、国際的な合意形成における難しさ、そして数値目標設定の慎重さを改めて認識させる出来事でした。

会合後の展開と今後の課題

会合後、次回のG20首脳会合は同年9月、アメリカのニューヨークで開催されることが発表されました。これは、国連総会に合わせた開催であり、国際協調による問題解決への強い意志を示すものでした。

ロンドン・サミットは、世界金融危機という未曽有の危機において、国際的な連携による対応の必要性を示した歴史的な会合でした。しかし、合意に至る過程で浮き彫りになった様々な課題は、今後の国際協力の在り方を考える上で重要な示唆を与えてくれています。巨額の財政出動や新興国への支援といった対策が、どのように世界経済に影響を与えたのか、その効果と課題を検証することは、現在もなお重要な研究テーマです。また、数値目標設定における透明性や、国際的な合意形成のプロセスにおける課題なども、今後の国際協調を推進する上で考慮すべき重要な点と言えるでしょう。

主要参加国首脳

アメリカ合衆国：バラク・オバマ大統領
イギリス：ゴードン・ブラウン首相
フランス：ニコラ・サルコジ大統領
ドイツ：アンゲラ・メルケル首相
日本：麻生太郎首相
イタリア：シルヴィオ・ベルルスコーニ首相
カナダ：スティーヴン・ハーパー首相
ロシア：ドミートリー・メドヴェージェフ大統領
中国：胡錦濤国家主席
インド：マンモハン・シン首相
ブラジル：ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領
メキシコ：フェリペ・カルデロン大統領
南アフリカ共和国：カレマ・モトランテ大統領
オーストラリア：ケビン・ラッド首相
韓国：李明博大統領
インドネシア：スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領
サウジアラビア：アブドゥッラー国王
トルコ：レジェップ・タイイップ・エルドアン首相
アルゼンチン：クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領
スペイン：ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相
オランダ：ヤン・ペーター・バルケネンデ首相

国際機関代表

国際連合：潘基文事務総長
世界銀行グループ：ロバート・ゼーリック総裁
国際通貨基金（IMF）：ドミニク・ストロス＝カーン専務理事
世界貿易機関（WTO）：パスカル・ラミー事務局長
* 金融安定化フォーラム：マリオ・ドラギ議長

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