第2次ナルヴィク海戦

第二次ナルヴィク海戦の詳細

第二次ナルヴィク海戦は、第二次世界大戦中の1940年4月、ノルウェーのオフォト・フィヨルドで発生した海戦です。この海戦は、イギリス海軍の戦艦ウォースパイトを中心とする艦隊が、ドイツ軍のナルヴィク攻略部隊の駆逐艦を攻撃し、全滅させたことで知られています。

海戦の背景

1940年4月、ドイツ軍はヴェーザー演習作戦を発動し、ナルヴィク攻略部隊はボンテ代将の指揮下、3個駆逐隊の駆逐艦10隻で構成されていました。これらの駆逐艦には、エデュアルド・ディートル少将の第3山岳兵師団第139連隊が分乗しており、4月9日未明にオフォト・フィヨルドに侵入、ノルウェー海軍の海防戦艦2隻を撃沈し、陸兵を上陸させてナルヴィクを占領しました。

しかし、10日未明にはイギリス海軍の駆逐艦5隻がオフォト・フィヨルドに侵入し、ドイツ駆逐艦に奇襲攻撃を仕掛けました。この第一次ナルヴィク海戦でイギリス側は駆逐艦2隻が沈没、3隻が脱出しましたが、1隻は大破。ドイツ側はボンテ代将が戦死し、最先任のバイ中佐が残存艦の指揮を執ることになりました。

ドイツ軍は、油槽船が生き残ったため、緩慢ながらも給油が可能でしたが、残存駆逐艦は弾薬が不足していました。そのため、西部司令部はバイ中佐に対し、給油済みの駆逐艦2隻で脱出するよう命令しましたが、途中でイギリス艦隊らしき影を発見したため、脱出を諦めナルヴィクへ引き返しました。

海戦前夜

ドイツ海軍西部司令部は、ナルヴィクの駆逐艦が全滅の危機にあることを知り、現地の指揮官に裁量を委ねるのが通例でしたが、4月10日17時20分に、バイ中佐に給油済の2隻の駆逐艦とともに、その夜脱出して、ドイツへ向かうよう指令しました。

しかし、4月12日午後、空母フューリアスから発進したソードフィッシュ9機がフィヨルド内のドイツ艦船攻撃をおこなったが、戦果なしで2機損失、1機着艦時大破という結果に。イギリス側では、Uボートの存在を考慮し慎重な意見も出ましたが、最終的に戦艦ウォースパイトが投入されることになりました。ウィリアム・J・ホイットワース中将は、13日2時に司令部を戦艦ウォースパイトに移しました。一方、ドイツ海軍情報部は、イギリス艦隊が13日に侵攻してくることを事前に察知していました。

4月13日7時30分、イギリス艦隊はオフォト・フィヨルドへの侵入を開始。11時52分には、戦艦ウォースパイトがソードフィッシュを発進させ偵察を行いました。ソードフィッシュは、フィヨルド内でドイツ駆逐艦の位置を報告するとともに、停泊中のUボートを発見し攻撃、U-64を沈没させました。

戦闘の経過

12時34分、ドイツ駆逐艦ヘルマン・キュンネがイギリス艦隊を発見し、フィヨルドの奥へ後退しつつ交戦を開始。ナルヴィク港からは駆逐艦ハンス・リューデマン、ヴォルフガング・ツェンカー、ベルント・フォン・アルニムの3隻が出港して戦闘に加わりましたが、両軍とも命中弾を得られませんでした。

13時12分、イギリス駆逐艦ベドウィンとエスキモーは、デュプヴィク湾にいたドイツ駆逐艦エーリッヒ・ケルナーを攻撃。座礁して損傷していたエーリッヒ・ケルナーは、最終的に戦艦ウォースパイトの砲撃で撃沈されました。その後、ドイツ駆逐艦ゲオルク・ティーレも戦闘に加わりましたが、13時50分にはドイツ側の指揮官エリッヒ・バイ中佐がロンバクス・フィヨルドへの後退を命じました。

駆逐艦エスキモーに追跡されたヘルマン・キュンネは座礁し、最終的に魚雷で破壊されました。また、この戦闘でイギリス駆逐艦パンジャビも一時的に航行不能に。エーリッヒ・ギーゼも出撃しましたが、イギリス艦隊の集中攻撃を受け撃沈。さらに、損傷していた駆逐艦ディーター・フォン・レーダーも大破炎上し爆破されましたが、イギリス側も駆逐艦コサックが大きな被害を受け座礁しました。

イギリス艦隊はドイツ駆逐艦を追撃してロンバクフ・フィヨルドへと進入し、ドイツ駆逐艦ゲオルク・ティーレが魚雷を発射、エスキモーを大破させましたが、最終的にドイツ駆逐艦は4隻とも自沈しました。

海戦後

第一次、第二次ナルヴィク海戦の結果、ドイツ軍のナルヴィク攻略部隊の駆逐艦10隻は全滅しました。生き残った乗員約2600名は、陸にあがり、ノルウェー軍の武器弾薬を装備して海軍歩兵となり、地上戦を戦うことになりました。4月24日には、戦艦ウォースパイトを中心とするイギリス艦隊が再びフィヨルド内へ進入し、ナルヴィクを砲撃。連合軍は5月28日にナルヴィクを奪回しましたが、6月8日には撤退し、ナルヴィクは再びドイツ軍に占領されました。

参考文献

* Lunde, Henrik O. (2009). Hitler's Pre-Emptive War - The Battle for Norway, 1940. Casemate. ISBN 978-1-935149-33-0

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