第2次ロッキンガム侯爵内閣

第2次ロッキンガム侯爵内閣：アメリカ独立戦争終結への試みと崩壊

1782年、アメリカ独立戦争におけるイギリス軍のヨークタウンでの敗北は、ノース内閣の失脚を招きました。国民の怒りと議会からの不信感の高まりを受け、ノース内閣は1782年3月22日に辞任。その後、新たな首相としてホイッグ党のロッキンガム侯爵が指名され、第2次ロッキンガム侯爵内閣が誕生しました。

ロッキンガム侯爵は、1765年から1766年にも首相を務めた経験を持つ政治家でした。彼の内閣は、植民地への強硬姿勢を転換し、アメリカとの講和交渉に重きを置く姿勢を示しました。これは、アメリカ独立戦争におけるイギリスの敗北を受け、戦争継続の無益さを認識した結果と言えるでしょう。ロッキンガム内閣は、戦争終結に向けた外交努力を開始し、和平交渉の道を探りました。

しかし、この内閣は短命に終わります。ロッキンガム侯爵が1782年7月1日に急死したためです。侯爵の死は、内閣の分裂を引き起こしました。後任の首相には、内務大臣を務めていたシェルバーン伯爵が就任しましたが、この人事に反発した閣僚たちが多数辞任しました。

これら辞任した閣僚たちは、「ポートランド派ホイッグ党」として知られるグループを形成しました。このグループは、名目上はポートランド公爵を指導者としていましたが、実際にはチャールズ・ジェームズ・フォックスがその中心人物でした。彼らは、シェルバーン伯爵の政策に反対し、やがてノース卿と手を組んで野党勢力として台頭します。

そして、1783年にはシェルバーン伯爵内閣を倒し、フォックス＝ノース連立内閣が成立しました。この政権交代劇は、イギリス政治における大きな転換点であり、アメリカ独立戦争終結に向けた新たな局面を迎えることになります。

ロッキンガム侯爵内閣は、短期間の政権でしたが、アメリカ独立戦争の終結に向けた重要な一歩を踏み出しました。しかし、侯爵の急死と内閣の分裂は、イギリス政治に大きな混乱をもたらしました。この内閣の崩壊は、その後イギリスがアメリカ独立を承認する道筋を作る上で、重要な出来事となりました。

主要閣僚

ロッキンガム侯爵内閣には、イギリス政治史に名を残す多くの閣僚が参加していました。その中には、以下のような人物がいます。

グランサム男爵: 第一商務卿として経済政策に携わった。
アイザック・バレー: 海軍財務長官として海軍予算管理に責任を負った。
トマス・タウンゼンド: 戦時大臣として戦争遂行に関連する政策を担当した。
エドマンド・バーク: 軍事支払総監として軍需品の調達や資金管理に携わった。彼は、雄弁な演説で知られる政治家であり、植民地問題にも深く関与していた。
ポートランド公爵: アイルランド総督としてアイルランド統治を担当。後にポートランド派ホイッグ党の中心人物となる。
ヘンリー・シーモア・コンウェイ: イギリス陸軍最高指揮官として軍の最高責任者。

これらの閣僚たちは、それぞれ専門分野で活躍し、内閣の政策決定に貢献しました。しかし、ロッキンガム侯爵の死後、内閣は分裂し、彼らの多くは異なる政治路線を歩むことになります。

参考文献

Cook, Chris; Stevenson, John (1980-02-28). British Historical Facts: 1760-1830. Palgrave Macmillan UK. ISBN 978-0-333-21512-8

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